【不動産投資】簿価の処理・注意点を解説|経費・申告の実務対応

「簿価って何?売却価格とは違うの?」

不動産投資をしていると、「簿価」という言葉を耳にすることがあります。

  • 減価償却後の建物の価値ってどう見るの?
  • 簿価がゼロでも売却できるの?
  • 税務署や銀行にどう影響する?

この記事では、簿価(帳簿上の評価額)の基本から、実務での注意点、税務・売却時の影響まで、不動産投資家が知っておくべき内容をやさしく解説します。


簿価とは?|帳簿上の建物の“現在の価値”

簿価(ぼか)とは、帳簿上で管理されている資産の価値を指し、不動産では主に「建物」に対して使われます。
物件を取得したときの建物価格から、毎年の減価償却費
を差し引いた“残りの価値”です。


✅ 簿価の計算式

コピーする編集する簿価 = 取得価額 − 減価償却累計額

たとえば、建物価格が1,200万円で、10年間にわたって毎年60万円ずつ減価償却していれば、現在の簿価は:

コピーする編集する1,200万円 −(60万円 × 10年)= 600万円

簿価が重要になる3つの場面

① 確定申告での減価償却計算

→ 簿価がゼロになるまで毎年減価償却が可能(※残存価額は1円)


② 売却時の譲渡所得の計算

→ 売却価格 − 簿価 = 譲渡益
(ここに対して税金がかかる)


③ 金融機関への決算書提出

→ 法人では貸借対照表に「建物簿価」を記載。資産評価に直結


よくある誤解とリスク

誤解実際のリスク
簿価がゼロだから税金もかからない❌ 売却益があれば譲渡所得税が課税される
減価償却をしてもお金が減るわけではないから気にしなくていい❌ キャッシュフローには影響ないが「帳簿利益」には影響する
毎年同じ金額を簿価にしておけばOK❌ 減価償却の更新をしないと帳簿が実態とズレてしまう

実務での注意点|青色申告・法人決算共通

✅ 減価償却を毎年記帳する(簿価の更新を忘れない)

→ 1年ごとに「減価償却費」を計上し、簿価を更新


✅ 建物価格と土地価格の内訳を明確に

→ 減価償却できるのは「建物」だけ。土地は簿価が減らないので注意


✅ 売却時は「売却価格 − 簿価」で利益を把握

→ 簿価が低いほど、譲渡所得は大きくなる(=税金が増える可能性)


よくあるQ&A|簿価と実務の関係

Q:簿価が1円になったら、その後はどうすればいい?

→ 減価償却は終了。帳簿上は1円で残り続けます。売却時には、1円との差額全額が譲渡益として扱われます。


Q:土地と建物の割合が不明な物件でも簿価計算できますか?

→ 物件購入時の契約書・固定資産税評価証明書などから按分(例:建物80%・土地20%)して、建物部分のみを減価償却対象として簿価を算出します。


まとめ|簿価は“見えない資産価値”をどう管理するかの指標

  • 簿価は減価償却で毎年変わる「建物の現在価値」
  • 売却益・決算・資産評価など、幅広い場面に影響
  • 正しく計算・記帳して、実態と帳簿を一致させよう

※本記事は不動産投資における簿価と減価償却の基礎的な考え方を解説するものであり、具体的な会計処理や税務判断は税理士にご相談ください。

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