はじめに|「家賃は入ってるけど、結局いくら残るの?」
アパート経営を始めようとするとき、「手取りはいくらですか?」という質問は非常に多く寄せられます。
表面利回りが良くても、実際には修繕費・税金・ローン返済など、見えにくい支出が多く存在します。
この記事では、アパート経営の実際の“手取り収入”を具体的なシミュレーションとともに解説し、収益を最大化するためのコツも紹介します。
1. 「手取り」とはどの金額を指すのか?
区分 | 内容 | 備考 |
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家賃収入(売上) | 入居者からの年間家賃の合計 | 表面利回りの算出基準になる |
不動産所得 | 家賃 − 経費 −減価償却など | 確定申告時に申告する金額 |
キャッシュフロー(手取り) | 家賃 − 経費 − ローン返済 | 実際に“現金として残る”金額(税引前または税引後) |
✅ このうち、実際の“生活に使えるお金”として見るべきなのは「キャッシュフロー」=手取りです。
2. 事例でわかる!手取りシミュレーション
▶ 物件概要
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木造2階建アパート(6戸・築25年)
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購入価格:2,000万円/利回り10%
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家賃:月16.6万円(年間200万円)
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諸費用:頭金+登記+修繕=計400万円
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ローン:金利2.0%/返済期間20年/借入1,600万円
▶ 年間支出内訳(概算)
項目 | 金額 |
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管理費・広告費 | 約20万円(家賃の10%) |
修繕費 | 約15万円(1戸2.5万円想定) |
火災保険・固定資産税等 | 約10万円 |
ローン返済 | 約98万円(元利均等) |
▶ 年間手取り計算
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年間家賃:200万円
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年間支出合計:約143万円
→ 手取り(税引前CF)=約57万円/月換算:4.7万円
✅ 減価償却や青色申告を活用すれば、課税所得はもっと低くなり、税引後手残りもキープ可能
3. 手取りが想定より減る4つの原因
❌ 空室・家賃滞納
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1ヶ月の空室で年間家賃の8〜10%が飛ぶ
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空室2戸×2ヶ月=30万円以上の手取り減も現実的
❌ 修繕費の急増
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給湯器交換:1台15万円
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外壁塗装:100万円以上
→ 修繕積立 or 予備費がなければキャッシュフローが一気に赤字に
❌ 広告費(AD)の見落とし
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仲介業者への広告料=家賃の1〜2ヶ月分
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退去のたびに10〜20万円のコストがかかる
❌ 税金・保険料・税理士費用
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固定資産税・都市計画税・所得税など
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節税策を取らなければ、想定より“税引後手取り”が減少する
4. 手取りを最大化するための改善ポイント
✅ ① 修繕費・管理費の見直し
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相見積もりでコスト削減
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管理会社と定期面談を実施し、成果型報酬の交渉も
✅ ② 空室リスクの最小化
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写真・AD・家賃設定・設備を改善し、空室期間を短縮
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契約更新の際に長期入居インセンティブを設定
✅ ③ 税引後CFの最適化
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減価償却・青色申告・専従者給与をフル活用
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税理士+freeeなどを使って帳簿・経費を整備
まとめ|アパート経営の「手取り」は設計と改善で変えられる
表面利回りや総収入では見えてこない、
✅ 空室・修繕・税金を差し引いた“リアルな手残り”=手取りこそが、アパート経営の成否を分けます。
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事前の収支シミュレーション
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管理・運営の見直し
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節税と会計の仕組み化
これらを実行することで、手取りは確実に増やすことができます。
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