はじめに|「不動産は堅実」は本当か?“破産”のリスクにも目を向けよう
アパート経営と聞くと、「不労所得」「堅実な資産形成」といったポジティブな印象を持つ方が多いかもしれません。
しかし実際には、収益悪化や過剰融資によって破産・自己破産に至るケースも確実に存在します。
この記事では、アパート経営で破産に至る典型的な原因と、事前にできる回避策、そして実際にあった失敗事例から学ぶべきポイントを詳しく解説します。
1. アパート経営で破産する主な原因5つ
原因①:空室が続いて家賃収入が減少
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家賃が入らない間もローン返済・管理費・修繕費は発生
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2戸空室が3ヶ月続くだけで年間CFが赤字になるケースも
原因②:フルローン or オーバーローンの返済不能
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金利が上昇した
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収入が予想より少なかった
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返済比率が高く、CFが常にカツカツ
原因③:高額な修繕・設備トラブルに備えていなかった
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給湯器、外壁、屋根、防水工事などで数百万の支出
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修繕積立がなく、一気にキャッシュアウト→資金ショート
原因④:売却できずに資金が詰まる
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築年数・立地がネックで買い手がつかない
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ローン残債が評価額を上回り「売っても赤字」
原因⑤:税金の支払いで現金が消える
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減価償却終了後に帳簿上の利益が増え、所得税・住民税が重くなる
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手元に現金が残っていない「黒字倒産」
2. 実例紹介|こうして破産に至った
▶ ケース①:築古一棟フルローン投資でCFが詰まった
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年利2.8%×20年/空室3戸が半年続き赤字に
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管理会社も非協力的/売却もできず破産申請へ
▶ ケース②:節税目的での過剰投資が裏目に
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減価償却頼みで多棟展開→償却切れで税金が激増
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新築アパートの家賃も下落、資金ショートで法人破産
3. 破産を回避するための具体的な対策
リスク | 対策 |
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空室リスク | 募集条件・写真・AD・設備の見直し/最初のシミュレーションは空室率10〜20%で計算 |
修繕リスク | 長期修繕計画を立てる/月々の修繕積立を実施(目安:家賃の10〜15%) |
融資リスク | フルローンに頼らず、返済比率は家賃収入の50〜60%以内に設計 |
売却困難リスク | 駅近・整形地・需要のあるエリアを選ぶ/物件価値の定期査定 |
税務リスク | 法人化・繰延・減価償却・青色申告で節税設計を行う(税理士活用推奨) |
4. 経営難のときに取るべき対応策
✅ ① 融資返済のリスケジュール交渉
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銀行に返済期間の延長や元本据置を相談する
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誠実な経営姿勢と収支計画が必要
✅ ② 管理会社変更+収支改善
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空室対策・経費削減でCF改善できれば再生可能
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募集条件・修繕費・ADなど見直しの余地あり
✅ ③ 売却による資産整理
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赤字になる前に売却できれば損失は最小限
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リフォーム後・満室稼働状態での売却が理想
✅ ④ 法人・個人での任意整理
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一時的に返済困難な場合は専門家(弁護士・認定支援機関)に相談
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信用情報・再スタートの準備も同時進行で進める
まとめ|破産は“突然”ではない。“準備不足”が原因になる
アパート経営での破産は、
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無理な借入
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誤った物件選び
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管理の怠慢
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税務知識の不足
こうした“積み重ねたミス”が、ある日突然キャッシュフローを止めてしまいます。
でも逆に言えば、
✅ 正しい知識
✅ 現実的な収支設計
✅ 地道な管理と節税
これらを積み上げていけば、破産リスクは大きく減らせます。
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