原状回復をめぐるトラブルで多いのが、「この費用、本当に妥当なの?」という疑問。
経年劣化と故意・過失の境界、オーナーと借主の負担割合、そして見積額の正当性…。
この記事では、原状回復費用の分担ルールと、相見積もりの取り方の基本を丁寧に解説します。
原状回復費用の基本ルール
原則として、費用負担の考え方は次の通りです。
費用が発生した原因 | 負担者 |
---|---|
経年劣化・通常損耗 | オーナー |
借主の故意・過失 | 借主 |
契約に明記された特約 | 内容により変動 |
よくある「負担区分」の誤解
誤解1:すべて借主が負担すると思っていた
→ 実際は**経年劣化(クロスの黄ばみなど)**はオーナー負担が原則。
誤解2:壁1面汚しただけで全面張替え請求された
→ ガイドラインでは「原状回復は必要最小限」が原則。全面張替え=全額負担とは限りません。
国土交通省ガイドラインによる「負担割合」の目安
ガイドラインには、耐用年数を考慮した負担計算が記載されています。
例:クロスの耐用年数は6年 → 6年以上経過していれば、借主の負担割合はゼロに近くなるケースも。
クロス貼替え後の年数 | 借主負担割合(目安) |
---|---|
1年未満 | 約100% |
3年経過 | 約50% |
6年以上 | 0〜10% |
相見積もりを取る理由とメリット
原状回復費用を提示されたとき、1社だけの見積もりでは相場と比較できません。
✅ 相見積もりのメリット
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相場とかけ離れた金額を見抜ける
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指定業者の見積が高い場合の交渉材料になる
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作業内容や範囲を他社と比較できる
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「一式」見積もりの内訳が明確になる
相見積もりの取り方ステップ
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現状の見積書を受け取る
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別の業者に同様の条件で依頼(写真送付や訪問対応)
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複数の業者から見積を取得(2〜3社がおすすめ)
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価格だけでなく、作業範囲や材料の質も確認
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一方的な指定業者に縛られず、自ら提案する姿勢を取る
よくある注意点と対策
ケース | 対策 |
---|---|
管理会社に「相見積もりダメ」と言われた | 拒否は違法ではない。契約書の記載と法的根拠を確認。 |
「敷金内で済ませる」と言われ内容が不明 | 明細を求め、実費との整合性をチェック。 |
他社との見積比較ができない | 同条件で依頼し、数量や作業単位で比較するのがコツ。 |
まとめ|適正な負担と価格を見極めよう
原状回復費用のトラブルを防ぐためには、
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国交省ガイドラインに基づいた負担ルールの理解
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契約書や特約条項の確認
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相見積もりによる適正価格の把握
この3点がとても重要です。
「なんとなく不安」なときは、1社だけに任せず、比較と確認を怠らないことが安心につながります。
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