空き家を減価償却できるケースとは?
空き家を賃貸目的で活用する場合、「建物部分」に対して減価償却費を計上できる可能性があります。
これは、空き家を「事業用資産」として扱うことで、所得税や住民税の節税に役立つというメリットがあります。
ただし、自己利用(自宅や別荘など)では減価償却の対象外になりますので注意が必要です。
減価償却の基本知識(定額法と定率法)
減価償却には主に2つの方法があります。
- 定額法:毎年一定額を償却
- 定率法:初年度は多く、年々減っていく償却方式(現在は主に中古住宅で適用)
空き家の用途や建物の種類により、選べる償却方法が異なります。2025年現在、新たに取得する中古の木造住宅などでは定額法が原則になります。
空き家の耐用年数と減価償却資産の分類
税務上、建物の構造により耐用年数が異なります。
建物構造 | 法定耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
軽量鉄骨 | 27年 |
鉄筋コンクリート造(RC) | 47年 |
中古住宅を購入した場合は、以下のいずれかで耐用年数を見積もります。
- 法定耐用年数の残存期間
- または、簡便法による短縮耐用年数(例:築年数が法定耐用年数の2倍超 → 新たな耐用年数は「法定耐用年数×20%」)
減価償却費の計算例(具体例あり)
例:築30年の木造住宅を600万円(建物部分300万円、土地300万円)で購入し、定額法で償却
- 木造住宅の法定耐用年数:22年
- 築30年 → 簡便法により「22年 × 0.2 = 4年」
年間の減価償却費:
300万円 ÷ 4年 = 75万円/年
→ 4年間にわたって75万円ずつ経費として計上できます。
減価償却と節税の関係
減価償却費は、実際にはお金の支出を伴わない「非現金経費」です。
そのため、実際のキャッシュフローを維持しつつ、所得税や住民税を減らせるという大きなメリットがあります。
注意点|土地部分は減価償却できない?
はい、そのとおりです。
土地は時間が経っても劣化しない資産と見なされているため、減価償却の対象外です。
そのため、建物と土地の価格を明確に区分する必要があります。
節税目的での空き家投資の落とし穴
- 減価償却費が大きく取れるのは初年度〜数年のみ
- 家賃収入が少ないと赤字が続き、金融機関の評価が下がる
- 税務調査で建物と土地の按分比率に問題があると、追徴課税の可能性も
税理士に相談すべきタイミング
以下のようなときは、税理士に早めの相談をおすすめします。
- 建物と土地の按分比率を決めるとき
- 築年数が古くて耐用年数の判断が微妙なとき
- 不動産所得が複数ある場合
まとめ|数字で把握することが成功の鍵
空き家投資では、購入価格の安さや利回りばかりに注目しがちですが、減価償却という視点からの分析も重要です。
きちんと減価償却を活用することで、キャッシュフローが改善され、堅実な資産形成が可能になります。
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