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はじめに|20年後も“持ち続けるべき物件”にするために
アパート経営は長期投資です。
購入した時点では利回りも高く、キャッシュフローも順調でも、20年後には建物も資産状況も大きく変わっています。
この記事では、アパート経営を20年続けたときに起こる変化・資産価値の推移・老後に向けた管理や売却の選択肢まで、現実的な視点で解説します。
1. アパート経営20年後に起こる主な変化
項目 | 状況の変化 |
---|---|
建物の老朽化 | 屋根・外壁・配管など、大規模修繕の必要性が高まる |
設備の陳腐化 | 給湯器・エアコン・水回りは一巡し交換が必要 |
家賃水準 | 築年数に応じて5〜30%下落することもある |
減価償却 | 建物償却が終了し、課税所得が増える(法人化していない場合) |
融資残債 | 完済または残り数年となり、担保余力が生まれる |
自身の年齢 | 60〜70代に入り、“相続・事業継承”を意識する時期に |
✅ つまり、「買ったまま放置」では20年後に資産価値が激減するリスクがあるということです。
2. 資産価値はどう変わる?20年後の現実的シミュレーション
▶ 築25年中古アパートを購入 → 築45年で迎える20年後
項目 | 内容 |
---|---|
当初価格 | 2,000万円(築25年) |
家賃収入 | 月20万円 → 月14万円(家賃3割下落) |
売却価格 | 1,000万円以下に(築45年木造は評価下がりやすい) |
修繕費 | 5年ごとの外壁塗装・屋上防水などで数百万円規模 |
減価償却 | 木造:法定耐用年数22年 → ほぼ償却済み=課税強化 |
✅ 長期保有で安定収入は維持できても、“現金流出と資産評価の下落”が重なりやすい時期
3. 老後を見据えた“持ち続ける or 売却”判断軸
判断ポイント | 持ち続ける | 売却する |
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修繕体力があるか | ○(積立あり) | ✕(資金が不安) |
管理に対応できるか | ○(管理会社が優秀) | ✕(高齢化・判断力低下) |
節税余地があるか | ○(法人化済み) | ✕(減価償却終了後は税負担増) |
売却益が狙えるか | ✕(築古で評価低い) | ○(市況が高ければ売り抜け可) |
✅ 「持ち続けて年金代わりにする」か「売却して一括現金化する」かを60代までに検討しておくことが重要です。
4. 老後に備えるアパート経営の“守りの戦略”
✅ 修繕積立を仕組み化する
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家賃収入の10〜20%を毎月積立
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「必要な時に困らない」資金クッションを
✅ 節税対策を継続する(法人化・青色申告)
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減価償却終了後も、専従者給与・法人移転・繰延費用処理で税負担を最小限に
✅ 事業承継・相続を見据えた設計をする
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アパートの所有名義整理(個人 or 法人)
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複数物件がある場合は“分けやすい形”に整理
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相続人と事前に話し合い+遺言・贈与計画も視野に
✅ 最後の出口(売却)も準備しておく
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管理会社に査定依頼
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複数の不動産会社と“定期的な相場確認”を実施
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いつでも動けるよう「売れる物件の状態を保つ」
まとめ|20年後に“資産が残る大家”になるために、今やるべきこと
アパート経営は、20年後に「儲かっていたか」よりも、「残っているかどうか」が大事です。
そのために必要なのは、
✅ 計画的な修繕と資金管理
✅ 税金・節税を見据えた経営体制
✅ 売却や継承までを想定した“長期戦略”
“老後が不安だから始める”のではなく、
“老後が安心になるように設計しておく”ことが本当の意味でのアパート経営の成功です。
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