目次
はじめに|「30年後のアパート経営」は避けて通れない未来の話
アパートを購入してから30年後──。
物件は築40年、50年になり、家賃収入・修繕費・売却価値すべてが大きく変化しています。
この記事では、アパート経営を30年続けた先にある現実と、建物老朽化への対策、継続・売却・建て替えの判断ポイントを解説します。
1. 30年経ったアパートのリアルな状態とは?
項目 | 状況変化の例 |
---|---|
建物の劣化 | 外壁・屋根・配管・給湯器・共用設備すべてが寿命を迎える |
家賃の下落 | 新築時の7〜5割まで下がることも(エリア次第) |
入居者層の変化 | 高齢化・更新離れ・定期的な入退去が増える |
評価額 | 築30年超の木造アパートは担保評価がゼロに近づく |
減価償却 | 建物の法定耐用年数(木造22年)はとっくに終了し、節税効果がなくなる |
✅ 放置すればするほど、維持コストは上がり、価値は下がっていくのが築30年以降の現実です。
2. 築30年を超えたアパートに必要な「5つの判断」
判断テーマ | 検討ポイント |
---|---|
継続運用か? | キャッシュフローがプラスで安定しているか |
修繕実施か? | 外壁・防水・設備の状態を確認。今後5年の修繕費はいくらか |
家賃見直しか? | 周辺相場との比較/下げるかリフォームで維持するか |
売却か? | 利回りの高いうちに売却できるか。買い手がつく築年数か |
建て替えか? | 土地評価・建ぺい率・容積率を踏まえて再建築の収支はどうか |
3. 継続か売却かの「分かれ道」はここで決まる
条件 | 継続向き | 売却・建て替え向き |
---|---|---|
修繕履歴 | 定期的に対応している | 修繕が未実施・コストが膨大 |
入居状況 | 満室 or 高稼働 | 空室多発・家賃下落が止まらない |
税金対策 | 法人保有 or 繰延活用中 | 減価償却終了・課税が重い |
相場価値 | 土地の価格が上昇している | 近隣相場に負けている・再建不可地 |
収益力 | キャッシュフローが安定 | 年間赤字 or 修繕費で収支が逆転 |
4. 老朽化したアパートを「資産」に戻す方法
✅ ① 修繕+リフォームで家賃回復
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外壁塗装・給湯器交換・水回りの刷新
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DIYでもできる「見た目改善」で空室対策にも効果的
✅ ② コンバージョン(用途変更)を検討
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戸建てへの転用・民泊・高齢者住宅・事務所への用途変更など
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法改正やエリアニーズにマッチすれば選択肢に
✅ ③ 建て替え or 等価交換で資産価値を再構築
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古い物件を更地化し、再建築 or デベロッパーと等価交換
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新築一棟として再スタートし、資産とキャッシュフローを蘇らせる
5. 30年後も“安心”な経営のために、今できる3つのこと
✅ 長期修繕計画の作成
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築年数ごとの修繕サイクルを想定
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月1万〜2万円の積立でも20〜30年後に大きな備えに
✅ 節税と資金繰りの仕組み化
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減価償却+青色申告+法人化などを活用し、税引後キャッシュを残す仕組みを整える
✅ 出口(売却・承継)の選択肢を持っておく
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相場を常に把握
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相続や事業承継に備えて法人移行 or 資産整理を行う
まとめ|アパート経営30年後は「準備していた人だけが残れる」
築30年を超えたアパートでも、
✅ 修繕を重ねて収益を維持している人
✅ 法人で節税を続けて手残りを残している人
✅ 資産の組み換えで次に進めている人
──それぞれに“残せる選択肢”を持っています。
逆に、準備をしてこなかった人は
❌ 修繕できず
❌ 売れず
❌ 赤字で継続も困難
という苦しい状況に。
30年後に資産として残せるかどうかは、「買った瞬間から始まる運営力」にかかっています。
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