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はじめに|「入居者用にエアコンを付けたけど、経費になる?」
アパート経営をしていると、入退去時の設備交換や修繕は避けられません。
なかでもエアコンは、設備の中でも高額かつ頻度が高い支出のひとつです。
ではそのエアコン費用、すべて経費として計上できるのでしょうか?
この記事では、アパート経営におけるエアコン費用の経費処理方法、減価償却と耐用年数の考え方、実務での注意点までを解説します。
1. 結論|エアコンは基本的に「経費計上できる」
✅ 条件:アパートの入居者向けに設置・交換した場合
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原状回復や機能維持の目的であれば修繕費として経費に
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性能アップや新設(未設置部屋への追加)は資本的支出(減価償却)扱い
2. 修繕費と資本的支出の違い|判断の分かれ目は?
区分 | 処理方法 | 例 | 税務処理 |
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修繕費 | 一括で経費にできる | 故障したエアコンの同等品交換 | その年の経費 |
資本的支出 | 減価償却で年割り計上 | 設置していない部屋への新設/性能向上機種に交換 | 耐用年数で分割 |
✅ 税務上の判断ポイント
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「機能維持」か「性能向上」か?
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「同等品への交換」か「高性能モデルへの置換」か?
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「原状回復目的」か「資産価値の増加」か?
3. 減価償却の対象となる場合の処理方法
▶ 耐用年数:6年(事務用・業務用設備に該当)
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税抜10万円以上のエアコンは資産登録が必要
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6年間で**均等に減価償却(定額法)**するのが基本
✅ 仕訳例(20万円のエアコンを設置/青色申告)
🟢 青色申告者なら30万円未満でも「少額減価償却資産の特例」で一括経費計上も可能です(年間合計300万円まで)
4. よくある実務での注意点
❗ 領収書の用途・設置場所を明記しておく
→ 「〇〇アパート101号室 エアコン交換」などとメモ添付して記録
→ 税務調査時にも明確な証拠となります
❗ 自宅・事務所用と混在して購入した場合は「按分処理」が必要
→ 例:1台は自宅、1台はアパート用 → アパート分だけ経費に
❗ 入居者が設置したエアコンはオーナーの経費にならない
→ 自費設置された設備はオーナー資産ではないため対象外
5. エアコン以外の「設備系経費」も同じ考え方で処理を
設備 | 修繕費?資本的支出? | 備考 |
---|---|---|
給湯器 | 同等品交換なら修繕費 | 高機能モデルなら償却対象 |
キッチン設備 | 壊れた部品交換は修繕費 | 全体交換は減価償却扱い |
照明・スイッチ | 少額であれば消耗品費 | 一括大量導入は資本的支出の可能性 |
まとめ|エアコン費用は「目的・金額・内容」で仕分けが決まる
アパート経営において、エアコンは支出が避けられない重要設備です。
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原状回復や故障修理 → 一括経費(修繕費)
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新設や高性能化 → 減価償却(資本的支出)
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金額10万円未満 → 消耗品費で処理可能
記録・目的・処理方法を明確にすれば、節税と経理の正確性が両立できます。
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