目次
はじめに|「いくらかかって、いくら残るのか?」を見える化しよう
アパート経営を始めるとき、最も大切なのが**事前のシミュレーション(収支計算)**です。
✅ 初期費用はいくら?
✅ 月の手取りはどのくらい?
✅ 何年で元が取れる?
こうした疑問を解決せずに購入すると、思ったより残らない・赤字になるといった失敗にもつながります。
この記事では、アパート経営の見積もりシミュレーションの基本構造・手順・必要なデータ・注意点までを初心者にもわかりやすく解説します。
1. 見積もりシミュレーションの基本構造
区分 | 内容 |
---|---|
初期費用 | 購入価格+諸費用(登記・仲介・保険・修繕など) |
年間収入 | 満室時の家賃収入(家賃×戸数×12ヶ月) |
年間支出 | 管理費・修繕費・税金・ローン返済など |
キャッシュフロー | 収入 − 支出=年間手残り(税引前/後) |
投資回収年数 | 初期費用 ÷ 年間手残り(ROI)=回収年数の目安 |
2. 必要な入力項目一覧
カテゴリ | 入力項目 | 解説 |
---|---|---|
物件情報 | 価格・築年数・戸数・間取り | 表面利回りを出す基礎データ |
融資条件 | 借入額・金利・返済期間 | 月々の返済額が決まる |
家賃情報 | 月家賃・空室率・更新料 | 空室リスクを織り込む |
経費 | 管理費・修繕費・広告費・税金 | 実質利回りを計算する要素 |
節税項目 | 減価償却・青色申告控除など | 税引後CFの予測に活用 |
3. 実践シミュレーション例【築20年木造6戸・価格2,000万円】
▶ 初期条件
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家賃:月5.5万円 × 6戸 = 33万円(年396万円)
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空室率:10% → 実収入:約356万円
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経費(管理・修繕・保険等):年間70万円
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ローン返済:年100万円(元利均等)
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初期費用(頭金・諸費用):400万円
▶ シミュレーション結果
項目 | 金額 |
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年間収入(実質) | 約356万円 |
年間支出 | 約170万円(経費+返済) |
税引前キャッシュフロー | 約186万円 |
投資回収年数(400万円 ÷ 186万円) | 約2.1年 |
✅ 築古・高利回り物件では、2〜5年で投資回収が可能になるケースもあります。
4. 見積もりシミュレーションをやる目的
目的 | 解説 |
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物件比較 | 利回りだけでなく“実質収益”で比較できる |
融資判断 | 「返せるか?」を事前に数字で確認できる |
税金対策 | 節税効果込みで“本当の手取り”を把握できる |
売却・出口戦略の設計 | 何年後に回収して、いつ売るかの計画が立てられる |
5. 見積もりの注意点|やりがちな5つの落とし穴
落とし穴 | 内容 |
---|---|
空室リスクをゼロで計算 | 実際は空室・滞納が必ずあると想定しておく(10〜15%) |
修繕費が少なすぎる | 築年数に応じて年間10〜30万円は想定 |
税金・保険の見積もり漏れ | 固定資産税・火災保険などは必須コスト |
節税効果を過信 | 減価償却や青色申告も、経費以外の現金支出は減らない点に注意 |
売却益を“収益”に含める | 売却はあくまで“プラスα”で考えるのが堅実 |
6. おすすめツール・テンプレート
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Excelテンプレート(レントロール付き)
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Googleスプレッドシート(クラウド共有・自動計算式)
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不動産投資サイトの無料シミュレーター(楽待・健美家など)
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自作するなら「シート分割+月別+税引後CF」まで設計すると◎
まとめ|シミュレーションは“儲かるかどうか”を買う前に見極めるツール
アパート経営の成否は、
✅ 家賃の見込み
✅ 経費の精度
✅ 融資の返済
✅ 税引後キャッシュフロー
すべてが“数字で見えるか”にかかっています。
**「感覚で買う」ではなく、「数字で判断する」**ために、必ず見積もりシミュレーションを実施してから物件選び・融資判断を行いましょう。
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