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はじめに|「経費の記録はあるけど、申告はどうするの?」
アパート経営をしていると、修繕費・管理費・広告費など、様々な支出が発生します。
それらを経費として処理すれば、所得税や住民税を抑える節税効果がありますが、
「確定申告ってどうやってするの?」「帳簿の付け方は?」と不安になる方も多いはずです。
この記事では、アパート経営の経費を正しく確定申告に反映させるための基本ステップ・記帳の方法・必要書類などを、初心者向けに丁寧に解説します。
1. アパート経営の所得区分は「不動産所得」
確定申告では、アパート経営による収入は「不動産所得」として申告します。
▶ 所得の計算式
この「経費」に何を含めるかが、税額を決める大きなポイントになります。
2. 確定申告の準備ステップ|経費処理はここから始まる
✅ ステップ①:帳簿(収支内訳帳)を作成する
月 | 家賃収入 | 管理費 | 修繕費 | 広告費 | その他経費 | 利益(所得) |
---|---|---|---|---|---|---|
1月 | 400,000円 | 20,000円 | 10,000円 | 0円 | 5,000円 | 365,000円 |
→ ExcelでもOK。freeeやマネーフォワードを使えば自動化も可能です。
✅ ステップ②:領収書やレシートを整理して保存
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領収書の宛名や用途メモ(「修繕費:給湯器交換@〇〇アパート」など)を記入
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曖昧な支出は「業務日誌」「現地写真」などで補足すると信頼性アップ
✅ ステップ③:必要書類をそろえる
書類名 | 内容 |
---|---|
確定申告書B | 所得や控除を記載する基本書類 |
不動産所得用収支内訳書 | 家賃・経費の明細を記載 |
減価償却資産の明細書 | 建物・設備の減価償却を記載 |
源泉徴収票(給与所得者) | 他の所得と合算するために必要 |
青色申告決算書(青色申告の場合) | 複式簿記+控除が使える様式 |
3. 経費を計上するタイミングと仕訳の考え方
✅ 現金主義と発生主義の違い(白色/青色で変わる)
会計方式 | 計上タイミング |
---|---|
白色申告(現金主義) | お金を払った日 |
青色申告(発生主義) | 契約や取引が発生した日(未払でもOK) |
→ 青色申告では、発生ベースでの記帳(未払計上)が必要
✅ 減価償却の処理も忘れずに
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建物や設備は一括ではなく、「耐用年数」に応じて毎年経費にする
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減価償却資産明細書で「取得価格・残存価額・償却費」を記載
4. よくある間違いと申告時の注意点
❌ 家賃収入を“税込”で記載していない(税抜で記入はNG)
→ 税込金額で正確に収入を記載
❌ 家族への謝礼や飲食代を経費に含めている
→ 所得移転とみなされ、否認リスクが高い支出は除外
❌ 減価償却を忘れていて、税金を多く払っている
→ 現金が出ていなくても、節税効果が大きいので必ず記載すること
5. 自分でやる or 税理士に任せる?判断のポイント
項目 | 自分で申告 | 税理士に依頼 |
---|---|---|
コスト | 会計ソフト代(年間1〜3万円) | 年間10〜15万円程度 |
時間・手間 | 自分で記帳・提出 | 書類整理と相談のみでOK |
精度・安心感 | 慣れないと間違いやすい | 税制変更や節税にも強い |
🟢 初年度だけ税理士にお願いし、2年目以降は自力で申告というハイブリッド型もおすすめです。
まとめ|経費の記帳と申告が“節税と安心”を生む
アパート経営の確定申告は難しく見えますが、
✅ 経費を正しく把握して
✅ 帳簿を整え
✅ 決まった書類に記入して提出する
──というステップを押さえれば、個人でも十分に対応可能です。
経費は「お金を使った証拠」。
記録と管理を味方につけて、無理なく賢く節税するアパート経営を目指しましょう。
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