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はじめに|「法人化したら節税になるって聞いたけど、コストは?」
アパート経営が軌道に乗ってくると、「そろそろ法人化を考えた方がいいのか?」と悩むオーナーが増えてきます。
法人化には節税や資産管理のメリットもありますが、同時に設立・維持にかかるコストがあることも事実です。
この記事では、アパート経営を法人化する場合にかかる設立費用・年間運営コスト・税務や法務の実務負担まで、わかりやすく解説します。
1. 法人化にかかる初期費用|会社設立のコスト
項目 | 内容 | 費用目安 |
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定款認証(合同会社は不要) | 公証役場での定款手続き | 約5万円(株式会社のみ) |
登録免許税 | 法人登記に必要 | 合同会社:6万円/株式会社:15万円 |
設立書類作成・提出 | 自作も可/税理士・司法書士へ依頼も可能 | 自作:0円〜/依頼:5万〜10万円前後 |
印鑑作成費 | 実印・銀行印など | 5,000〜2万円 |
✅ 合計設立費用目安
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合同会社:6〜10万円前後(自分で手続き)
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株式会社:20万円前後
2. 法人化後にかかる年間ランニングコスト
項目 | 内容 | 費用相場 |
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税理士顧問料 | 月次処理+決算報酬含む | 年10万〜30万円 |
会計ソフト使用料 | freee・MFクラウドなど | 年1万〜3万円 |
法人住民税 | 赤字でも均等割として課税 | 最低7万円(自治体により異なる) |
社会保険(代表者) | 条件次第で加入義務あり | 月2〜5万円(年24〜60万円) |
法人銀行口座維持費 | メガバンクなどでは有料もあり | 月数百〜数千円程度 |
🟢 年間コストは最低でも15〜20万円以上。売上・利益がないと逆に赤字になる可能性も。
3. 法人化で発生するその他のコスト・業務負担
内容 | 実務上の負担 |
---|---|
決算書・法人税申告 | 税理士任せが基本/個人より複雑 |
請求書・振込・領収書発行 | すべて法人名義で対応が必要 |
融資・契約先の変更 | 金融機関や管理会社との再契約が必要なことも |
✅ 法人=別人格なので、個人の通帳・クレジットカードとの混同はNG
4. 法人化のコストは「いつ元が取れるか?」で判断
✅ 目安の分岐点
項目 | 法人化検討ライン |
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所得 | 年400〜500万円以上(個人の税率が上がる) |
保有物件数 | 2棟以上/戸数10戸以上 |
減価償却 | 節税目的で法人に移して“赤字化”したい |
売却・継承 | 法人名義の方が相続・売却の選択肢が広がる |
▶ 法人化で得られるメリット(ただしコスト以上に稼げる場合)
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所得分散(家族へ給与)
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税率の安定(法人税は約23%〜)
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資産の長期保有・法人名義での拡大戦略
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将来の相続対策・事業承継にも有利
まとめ|法人化は“節税手段”ではなく“経営ステージの選択肢”
アパート経営の法人化は、
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一定の利益と資産規模に達した人が
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節税・資産管理・相続戦略を見据えて
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計画的に移行することで初めてコスト以上のリターンが得られる
という“ステージアップの手段”です。
初期・維持費用を理解した上で、「いつ・どの形で法人化するか?」を考えていきましょう。
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