はじめに|アパート相続でもっとも揉めるのは「お金」より「感情」
親が残したアパートの相続をめぐり、兄弟間でトラブルになるケースは非常に多く、遺産分割協議が長期化したり、関係が崩れて絶縁状態になる例も少なくありません。
特に、**アパートは「現金のように分けられない資産」**であることから、分割方法や収益の扱いをめぐって深刻な対立に発展しがちです。
この記事では、アパート経営を相続する際に起きやすい兄弟間のトラブル例と、その予防策・対処法を分かりやすく解説します。
1. なぜアパート相続は兄弟トラブルになりやすいのか?
アパートは以下のような**“分けにくい性質”**を持つため、トラブルの温床になりやすい資産です。
❌ 分割しにくい
→ 一棟物件なので「兄弟で◯階ずつ」などの分割が現実的ではない
❌ 評価と実態にギャップがある
→ 相続税評価は低くても、実際の家賃収入が大きい=収益の取り分で揉める
❌ 管理や修繕の意思決定が必要
→ 所有者が複数だと、意見が合わないだけで経営が止まるリスクも
2. よくあるトラブル事例とその背景
事例①:長男がアパートを相続、他の兄弟は現金で納得せず
→ 評価額は同じでも、「安定収入の有無」が争点に。
「自分だけ家賃がもらえてズルい」という感情論に発展。
事例②:共有名義にした結果、売却や修繕の合意が取れない
→ 売る・貸す・建て替えなど、すべてに全員の合意が必要
1人でも反対すれば動けなくなる「共有の落とし穴」
事例③:相続手続きに非協力的な兄弟がいて登記が進まない
→ 書類が揃わず、名義変更もできない状態に
不動産の法定相続は“共有”になるため、将来の管理に大きな支障
3. トラブルを防ぐための3つの具体策
✅ 対策①:事前に遺言書を残す
親が元気なうちに「アパートは誰に相続させるか」「代償金はどう支払うか」を明記した公正証書遺言を作成することで、遺産分割協議を省略可能です。
✅ 対策②:アパートを法人化して保有する
家族間で揉めないよう、**法人でアパートを所有し、相続は“株式で行う”**形にする方法。
法人なら収益配分や意思決定のルールを明確にでき、感情論に発展しにくいです。
✅ 対策③:生命保険や現金で“代償分割”の原資を用意する
アパートを長男が相続し、次男・三男には生命保険の死亡保険金を遺すといった、不動産と現金のバランス調整策が有効です。
4. 相続トラブルを未然に防ぐ「家族会議」のすすめ
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アパートの評価額や家賃収入を家族に共有
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誰が将来継ぐのか?売却か保有か?を話し合う
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「遺言で揉めないようにしておく」と親の口から明言するだけでも効果大
🟢 争いの多くは「知らされていなかったこと」「相談されなかったこと」から生まれます。
5. 万が一もめてしまったら…解決のための相談先
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税理士(相続税や評価のアドバイス)
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司法書士(登記や名義変更の手続き)
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弁護士(遺産分割協議が進まない場合)
特に**共有名義での相続登記がされていない場合、名義放置による“相続登記の義務違反(2024年から)”**にも注意が必要です。
まとめ|相続トラブルは、準備と対話で9割防げる
アパート経営の相続では、資産そのものより「関係性」の方が壊れやすいのが現実です。
だからこそ、
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親が元気なうちの話し合い
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遺言書や分割案の明文化
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家族に“知らせること”が最大の対策です。
「相続=争族」にしないために、今からできる備えを始めましょう。
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