はじめに|「いざ相続が発生したけど、何から手を付けていいか分からない…」
親が所有していたアパートを引き継ぐことになったものの、
・名義はどうやって変える?
・家賃の振込先は?
・相続税ってどう計算するの?
──そんな疑問で手続きがストップしてしまう人は少なくありません。
不動産の相続は、登記・税金・管理・契約の引き継ぎなど、複数の分野にまたがる複雑な手続きが必要です。
この記事では、アパートの相続に必要な手続きの流れと準備しておくべきポイントを、相続初心者にも分かりやすく解説します。
1. アパートを相続する際の全体フロー
手順 | 内容 |
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① 相続開始(死亡) | 戸籍取得・死亡届提出 |
② 相続人の確定 | 戸籍調査で法定相続人を特定 |
③ 相続財産の調査 | アパートの登記簿謄本・ローン残債・家賃収入・契約状況など |
④ 遺産分割協議 | 相続人全員で話し合い、協議書を作成 |
⑤ 相続登記(名義変更) | 所有権移転登記を法務局へ申請(義務化・3年以内) |
⑥ 賃貸管理の引き継ぎ | 管理会社・入居者・銀行への連絡・口座変更 |
⑦ 相続税の申告と納税 | 相続開始から10か月以内に税務署へ |
2. 名義変更(相続登記)の具体的な手順
2024年4月から、不動産の相続登記は義務化され、3年以内の申請が必要になりました(不動産登記法改正)。
✅ 必要書類
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登記申請書
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被相続人の戸籍(出生〜死亡まで)
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相続人全員の戸籍・住民票・印鑑証明書
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固定資産評価証明書
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遺産分割協議書 or 遺言書
🟢 法務局での手続きが不安な場合は、司法書士に依頼するのがおすすめです。
3. 相続税の申告と納税|10か月以内がタイムリミット
アパートを相続した場合は、相続税の対象資産として評価され、課税対象額が基礎控除を超えると申告・納税が必要になります。
▶ 基礎控除の目安
たとえば、相続人が2人なら 3,000万円 + 1,200万円 = 4,200万円まで非課税
✅ アパートの相続税評価方法
資産 | 評価方法 |
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土地 | 路線価 × 面積 × 借地権割合 × 建付地補正 |
建物 | 固定資産税評価額 × 借家権割合(一般的に30%控除) |
🟢 築古アパートや貸家は評価額が下がるため、節税効果が高い資産とも言えます。
4. 管理・契約関係の引き継ぎに必要な対応
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管理会社への連絡と新オーナーの届出
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家賃振込先口座の変更手続き
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賃貸借契約書や修繕履歴の引き継ぎ
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火災保険・設備保証などの契約名義変更
🟢 入居者へは「所有者変更通知書」を送付しておくとトラブルを防げます。
5. 相続に備えて生前にできる3つの準備
✅ 準備①:所有者本人が「不動産の一覧・契約内容・通帳」を整理しておく
→ 相続人がスムーズに資産を把握・手続きできるようになる
✅ 準備②:遺言書を作成しておく(公正証書が確実)
→ 分割協議を回避し、相続人同士のトラブル予防にも効果的
✅ 準備③:相続税の試算+納税資金の準備(生命保険など)
→ アパートを売却せずに残すためには納税資金の確保が鍵
まとめ|相続手続きは“早く・正しく・抜け漏れなく”が基本
アパートの相続は、相続登記・税務・管理・契約引き継ぎの4本柱を正しく進めることが重要です。
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10か月以内の申告スケジュールを忘れずに
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名義変更や入居者対応を早めに進めて
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不安があれば専門家の力を借りる
そして何より、生前からの準備が「争族」や混乱を防ぐ最大の対策です。
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