はじめに|「相続=高額な税金がかかる」と思っていませんか?
現金や株、不動産などを子どもに残す場合、必ずついて回るのが「相続税」です。
特に都市部の土地付きアパートは評価額が高く、「相続税が払えず売却せざるを得なかった」というケースも少なくありません。
しかし実は、**アパート経営は“相続税対策に強い資産”**であり、事前の準備次第で税負担を大幅に減らすことも可能です。
この記事では、アパートを活用した相続税対策の基本と、具体的な節税方法・注意点をわかりやすく解説します。
1. なぜアパートが相続税対策に向いているのか?
相続税は「資産の評価額」に基づいて課税されますが、アパートなどの貸家は“評価額が下がる”という特性を持っています。
✅ 自宅 vs 貸家の評価の違い
資産 | 評価方法 | 評価額の目安 |
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更地(建物なし) | 路線価ベース | 市場価格の80〜90% |
貸家付き土地 | 路線価 × 借地権割合 × 貸家建付地補正 | 20〜30%の圧縮が可能 |
建物(貸家) | 固定資産税評価額 × 借家権割合(通常30%) | さらに30%控除される |
この評価の下がり方を利用して、現金をアパートに変えるだけで、課税評価額を圧縮=相続税を減らせるのです。
2. アパートを活用した相続税対策の3つの具体策
対策①:現金 → 賃貸アパートに変える「資産の組み換え」
現金のまま保有していると評価額=100%ですが、
それをアパートに変えることで約60〜70%の評価額に圧縮できます。
→ 相続財産の評価を下げ、税額そのものを引き下げる効果
対策②:法人設立で財産を分散・贈与も計画的に
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アパートを不動産管理法人へ移すことで資産を切り離し、法人に蓄積
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子どもを役員にして報酬を渡せば、**早期から資産移転(生前贈与)**も可能
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法人保有により相続税の対象外になる資産を増やせる
🟢 「法人化=節税」ではなく、「相続のための法人活用」という視点が大切です。
対策③:生命保険と組み合わせて納税資金対策
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アパート自体は評価額が下がっても、納税資金は必要
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不動産を売らずに済むよう、生命保険で相続税をカバーする設計を事前に準備
3. 注意!相続税対策で失敗しがちなポイント
❌ 築古すぎるアパートを購入し、修繕・空室コストがかさむ
→ 節税どころか、毎年赤字+入居者がつかない負動産に
❌ 無理な借入で相続人に返済リスクが残る
→ 資産があってもローン負債が重すぎると、“放棄”されるリスクも
❌ 法人化しても実効性のないスキームになる
→ 形だけ法人を作っても、実務・収益が伴わないと逆に課税対象が拡大
4. 相続税対策のためにやるべき3つの事前準備
✅ ① 財産評価と相続税の見積もり
→ 税理士に依頼して「今、相続が発生したらいくらかかるのか?」をシミュレーション
✅ ② 共有ではなく「単独所有 or 法人所有」の検討
→ 兄弟共有だとトラブルの元。事業として続けるなら法人保有が有利
✅ ③ 遺言書の作成と相続人間の事前合意
→ 相続税より深刻なのは「もめること」。分割案を文書化しておくことが最重要
まとめ|“資産を守る”ことが、相続税対策の本質
相続税対策は、税金を減らすことそのものが目的ではありません。
本来は「残された家族に資産をきちんと残すための手段」であり、その実現にアパート経営は有効なツールです。
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評価額を圧縮して税負担を軽くする
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法人や保険を組み合わせて納税も見据える
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生前からの準備で“争族”を未然に防ぐ
これらを総合的に考えることで、節税に強い資産承継=成功する相続が実現します。
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