はじめに|親のアパートを「そのまま引き継げばいい」と思っていませんか?
親が長年経営してきたアパート。
「自分がそのまま相続して続ければいい」と思っていたら、思わぬ税金やトラブル、名義変更の手間で混乱… というケースは少なくありません。
アパート経営の相続は、不動産そのもの+事業の承継でもあるため、一般的な相続とは異なる注意点が多く存在します。
この記事では、親のアパートを相続する際の基本的な流れ・注意点・手続きをわかりやすく解説します。
1. アパートを相続すると何が起こるのか?
相続により、アパートの「所有権(名義)・収益(家賃)・管理責任」がすべて引き継がれます。
つまり、「相続=事業継承」です。
✅ 相続によって引き継がれるもの
-
建物・土地の所有権
-
賃貸借契約(入居者との契約)
-
家賃収入と経費、確定申告の義務
-
既存のローン(連帯保証人含む場合)
2. アパート相続の基本的な手続きの流れ
手順 | 内容 |
---|---|
① 相続人の確定 | 戸籍調査で法定相続人を確認 |
② 遺産の調査 | アパートの登記簿、ローン残債、評価額、契約書などを収集 |
③ 遺産分割協議 | 相続人全員で分割内容を話し合い、協議書を作成 |
④ 不動産の名義変更登記 | 法務局で所有権移転の手続きを実施(登記原因:相続) |
⑤ 管理引き継ぎ・入居者対応 | 管理会社・入居者への通知、口座変更など |
⑥ 相続税の申告と納税 | 相続開始から10か月以内に申告・納税 |
🟢 相続登記は2024年4月以降、**義務化(3年以内)**されています。
3. アパート相続の注意点|事前に知っておきたい落とし穴
❌ 注意①:相続税が高額になる可能性がある
アパートは土地・建物としての評価額だけでなく、収益性がある=資産価値が高いため、思った以上の課税対象になることも。
→ 【対策】評価額のシミュレーションや生前贈与・法人化の検討を早めに行う
❌ 注意②:兄弟での遺産分割でもめる
収益不動産は分けづらいため、現物相続 vs 現金相続で不公平感が生まれやすいです。
→ 【対策】遺言書の作成や保険の活用、代償分割案の設計がカギ
❌ 注意③:ローン・連帯保証も一緒に引き継がれる
相続したアパートにローンが残っている場合、相続人が支払う責任を負います。
団体信用生命保険(団信)に入っていれば完済されることもありますが、加入していないケースも。
→ 【対策】債務の有無・保証人契約の内容を必ず確認
4. アパートを相続したら最初にやるべき3つのこと
✅ ① 法務局で名義変更登記
→ 相続人全員の印鑑証明・登記原因証明情報が必要です。
✅ ② 管理会社・入居者への通知
→ 名義変更後は、家賃の振込先・連絡先を変更し、誤送金やトラブルを防ぎます。
✅ ③ 税務署への相続税申告
→ 不動産評価をもとに、10か月以内に申告。税理士と連携するとスムーズです。
5. 相続後もアパート経営を続ける場合のポイント
-
修繕履歴・入居状況の引き継ぎチェック
-
確定申告の手続き(不動産所得として)
-
管理会社との契約内容を確認・再交渉も検討
収益性が低い、修繕費が多い物件なら、売却を視野に入れるのも有力な選択肢です。
まとめ|「相続したら考える」では遅い。早めの準備が成功のカギ
アパート相続は、単なる資産の引き継ぎではなく、経営の承継です。
引き継いだ人が何を知っているか、どう判断するかで、「資産」になるか「負債」になるかが分かれます。
-
評価額と税金の見通し
-
名義変更と契約引き継ぎ
-
分割・納税に備えた準備
これらを早めに家族で話し合っておくことが何よりの対策です。
コメント