はじめに|「親が連帯保証人になっていたら、自分にも責任があるの?」
アパート経営において、ローンや賃貸契約などに付随して“連帯保証人”の立場にあることは珍しくありません。
しかし、もしその連帯保証人が亡くなったら──保証債務は相続されるのか?自分が支払うことになるのか?
この記事では、アパート経営における連帯保証人の相続リスクと、その対策方法を、法的観点から分かりやすく解説します。
1. 連帯保証人は相続されるのか?【結論:原則として相続される】
民法上、連帯保証人の地位(保証債務)は相続されます。
つまり、親が誰かの借金やローンの連帯保証人になっていた場合、子ども(相続人)は保証債務を引き継ぐ可能性があるということです。
▶ 具体例:親がアパートローンの連帯保証人だったケース
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アパートの所有者:叔父
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親が連帯保証人
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親の死後、自分が相続したところ、連帯保証人の義務も継承されていた
→ 叔父が返済不能になった場合、自分が多額のローン返済義務を負う可能性も…
2. アパート経営で発生する「連帯保証」の主な場面
保証対象 | 保証人になりやすい人物 | リスク内容 |
---|---|---|
アパートローン | 親族・配偶者・法人の代表者など | 返済不能時に全額返済の義務 |
賃貸借契約 | 入居者の親や知人 | 滞納・損害賠償の負担が発生 |
法人借入 | 役員・株主 | 事業失敗時に連帯債務を背負う |
3. 保証債務があるかどうかを確認する方法
✅ 相続開始後、まずは「遺品と契約書類」をチェック
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銀行ローン・賃貸契約書・法人登記簿など
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保証人欄に名前があるか、署名捺印の有無を確認
✅ 信用情報機関に問い合わせ(CIC・JICCなど)
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個人信用情報を取得し、保証履歴を確認(本人または法定代理人申請)
✅ 銀行や貸主に直接確認する(相続人として)
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窓口やコールセンターに「保証人としての契約有無」を照会
4. 保証債務があるとわかったときの選択肢
▶ 選択肢①:単純承認(何もしない)
→ 債務を含めた全財産を相続する。連帯保証債務も引き継ぐ。
▶ 選択肢②:相続放棄(家庭裁判所に申立て)
→ 一切の相続を放棄することで、保証債務の引き継ぎも回避可能。
※ 相続開始から原則3か月以内の申請が必要
▶ 選択肢③:限定承認(負債超過でない場合のみ)
→ 「プラスの財産の範囲でマイナスの債務を返済」する方式。
手続きが複雑なため、専門家(弁護士・司法書士)に相談推奨
5. 連帯保証トラブルを防ぐための事前対策
✅ 対策①:親が保証人になっていないか、生前に確認しておく
→ ローン契約書・賃貸借契約の控えを見せてもらう、親族間で話し合っておく
✅ 対策②:保証人の立場を外してもらう/保証人不要契約を選ぶ
→ 特に賃貸借契約は、家賃保証会社(保証代行)制度を活用すれば、原則保証人不要にできる
✅ 対策③:相続時に“負債も財産”と認識すること
→ 「不動産があるから得」と思って承継したら、裏に大きな保証債務がついていたという事例も
まとめ|「連帯保証は相続される」ことを前提に、早めの確認と備えを
アパート経営では、見えにくい保証債務が相続リスクになることもあります。
しかも、知らなかったでは済まされないのが法律の世界。
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親族や自分が保証人になっていないかチェック
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保証履歴の調査と確認を怠らない
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いざという時は、相続放棄という選択肢も視野に
こうした備えが、将来の「思わぬ借金リスク」を回避するカギになります。
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