はじめに|「融資条件で利回りが台無しに…」を防ぐために
アパート経営では、物件の収益性だけでなく“融資の条件”が最終的な利益を左右します。
たとえ高利回りの物件でも、
✅ 金利が高い
✅ 借入額が大きすぎる
✅ 返済期間が短い
といった要素によって、キャッシュフローが赤字になるケースもあるのです。
この記事では、融資と金利がアパート経営に与える影響と、利回り・返済額・収支へのつながりを実例とともに解説します。
1. 融資の基本3要素|このバランスが収支を決める
項目 | 内容 |
---|---|
借入額(融資金額) | 自己資金とのバランス。高すぎると返済が重くなる |
金利 | 返済額に直結。1%違えば総返済は数百万円の差に |
返済期間 | 長くすれば月々の返済は軽くなるが、総返済額は増える |
✅ 「借りられるか?」ではなく、「借りた条件で儲かるか?」をシミュレーションすることが重要です。
2. 金利が利回りに与えるインパクトとは?
▶ ケース①:表面利回り10%の物件(家賃収入240万円/年)
金利 | 月返済 | 年返済 | 年間CF(支出180万の場合) |
---|---|---|---|
1.5% | 約144,000円 | 約172万円 | 約68万円 |
3.0% | 約166,000円 | 約199万円 | 約41万円 |
4.5% | 約188,000円 | 約226万円 | 約14万円(ほぼ赤字寸前) |
✅ 金利1.5%違うだけで、年間手残りが50万円以上変わることもあります。
3. 借入額が多すぎると“キャッシュが残らない”
✅ DCR(返済余裕率)をチェックしよう
▶ 例:家賃収入240万円 − 経費60万円 → NOI=180万円
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年間返済150万円 → DCR=1.2(理想ライン)
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年間返済200万円 → DCR=0.9(危険ライン)
✅ 「借りすぎて返済がCFを食ってしまう」ことが一番避けるべき状態です。
4. 返済期間の違いが収支にどう響くか?
借入額3,000万円 | 金利2.0% | 月返済額 | 年間返済額 | 総返済額 |
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15年返済 | 約193,000円 | 約231万円 | 約3,470万円 | |
20年返済 | 約152,000円 | 約182万円 | 約3,640万円 | |
30年返済 | 約111,000円 | 約133万円 | 約4,000万円 |
✅ 月々のCFを重視するなら、返済期間は“できるだけ長く”が基本。ただし総支払額は増えるため要バランス。
5. どう組むべき?融資設計と利回り戦略
✅ 表面利回り9%以上がある物件を基本とする
→ 経費・返済・空室リスクを織り込んでも手残りが見込める
✅ 借入額は“DCR1.2以上”で設計する
→ 家賃 − 経費で年間返済をしっかりカバーできるように
✅ 金利交渉+複数行比較は必ず行う
→ 「金利0.5%安い」だけで年間10万円以上の差が出ることも
✅ 初心者は“長期・固定金利”で安定性重視
→ 変動金利は魅力的だが、金利上昇のリスクは現実にあり得る
まとめ|利回りだけで判断しない。“融資設計”こそ収益の核心
アパート経営は、
✅ 利回り×融資条件(借入・金利・返済期間)=実質収益
このバランス設計で、同じ物件でも結果がまったく変わります。
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高利回りでも返済が重すぎれば赤字
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金利が高ければ表面利回りは帳消し
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借入額とDCRを見て、“返せる融資”を組む
これが、失敗しない不動産投資家の“鉄則”です。
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