はじめに|「利回り〇%」だけでは判断できない理由
不動産投資の世界では、物件の収益性を表す指標として「利回り」が頻繁に使われます。
しかし、表面利回り・実質利回りなど複数の種類があり、**正しく理解しないと「思ったより儲からない」**という事態に陥りがちです。
この記事では、アパート経営における利回りの意味や計算方法、表面と実質の違い、そして目安となる基準値までを初心者向けに解説します。
1. アパート経営の「利回り」とは?
▶ 利回りとは
投資額に対して、どれくらいの収益が得られるかを示す指標です。
アパート経営では、主に次の2つの利回りが使われます:
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表面利回り(グロス利回り)
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実質利回り(ネット利回り)
2. 表面利回りとは?計算式と注意点
▶ 計算式:
たとえば、家賃10万円×12ヶ月=年間120万円の収入、
物件価格2,000万円の場合:
→ 120万円 ÷ 2,000万円 × 100 = 6.0%
✅ 特徴:
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計算がシンプルで比較しやすい
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諸経費や空室リスクは含まれていない
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あくまで「カタログスペック」の数値
3. 実質利回りとは?現実的な収益性を示す指標
▶ 計算式(例):
支出には以下が含まれます:
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管理費・修繕積立金
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固定資産税・火災保険料
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空室期間やAD(広告料)など
✅ 特徴:
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より実態に近い収益性を把握できる
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表面利回りより2〜3%下がることが多い
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収支計画・融資返済の判断に必須
4. 利回りの目安はどれくらい?構造・エリア別に比較
地域・物件タイプ | 表面利回りの目安 | 実質利回りの目安 |
---|---|---|
都心のRCマンション | 4〜6% | 2.5〜4% |
地方の木造アパート | 8〜12% | 5〜8% |
ボロ戸建て投資 | 12〜20%以上 | 8〜15% |
※ 築年数や管理状況、融資条件によって大きく変動します。
5. 利回りだけに頼ってはいけない3つの理由
理由①:空室や滞納で収入が変動する
→ 利回りは「満室前提」だが、現実は変動あり
理由②:支出が予想以上にかかる
→ 修繕費や仲介手数料など、見えないコストが多い
理由③:出口(売却)価格で全体収支が変わる
→ キャピタルゲイン(売却益)まで考慮するのが本来の投資判断
6. 利回りを高めるためにできること
✅ 家賃を維持・アップする工夫
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設備改善(Wi-Fi、オートロック、独立洗面台など)
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入居者満足度向上で長期入居へ
✅ 管理コストを見直す
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管理会社の手数料交渉や見直し
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自主管理にチャレンジ(要スキル)
✅ 購入時の「安く買う」努力
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相場より安く仕入れる=利回り向上
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リフォーム前提でボロ物件を再生する
まとめ|「実質利回り」があなたの未来を決める
不動産投資では、「表面利回り」が目を引きがちですが、
実際にお金が残るかどうかは**「実質利回り」で判断すべき**です。
利回りを正しく理解することは、
失敗を避け、安定したアパート経営を実現するための第一歩。
これから物件を選ぶあなたも、すでにオーナーのあなたも、
“数字の裏側”に目を向けて、賢く運営していきましょう。
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