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はじめに|「このリフォーム、経費にして大丈夫?」
アパート経営では、退去時や空室対策としてリフォームや設備交換を行う機会が多くあります。
そこで気になるのが、「このリフォーム費用って経費にできるの?」という疑問。
結論から言えば、リフォームは内容によって「修繕費」か「資本的支出」に分かれ、経費の処理方法が異なります。
この記事では、リフォームが経費になるかどうかの判断基準、修繕費との違い、処理方法・計上タイミングの注意点を実例とともに解説します。
1. リフォーム費用は“全額経費”にならないこともある
▶ 経費処理のポイントは「目的」と「金額」
種別 | 内容 | 経費処理 |
---|---|---|
修繕費 | 現状維持・原状回復 | 一括経費(その年の経費) |
資本的支出 | 性能向上・資産価値の増加 | 減価償却(数年にわたり経費) |
✅ 修繕費として処理できる例
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クロス張替え
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給湯器の同等品交換
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排水管の修理
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網戸交換・ドアクローザーの交換
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原状回復目的の塗装
❌ 資本的支出として処理すべき例
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ユニットバスを新品に変更
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和室から洋室への変更(間取り変更)
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キッチン・洗面台のグレードアップ
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耐震補強・バリアフリー化
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共用部の大規模改修(外壁・屋上など)
2. 修繕費と資本的支出の“あいまいなライン”の判断基準
✅ 国税庁の基準(要約)
以下のいずれかに該当すれば修繕費として一括計上可能:
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支出が20万円未満
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支出が60万円未満かつ3年以内に使用されると合理的に見込まれるもの
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継続的に行われる維持管理行為であること(定期清掃・軽微な修理など)
🟢 悩んだ場合は税理士に相談 or 減価償却処理しておけば安全です。
3. 減価償却になる場合の処理方法と耐用年数
設備 | 耐用年数 | 記帳方法 |
---|---|---|
ユニットバス | 15年 | 建物附属設備として登録 |
エアコン(壁掛型) | 6年 | 減価償却費で分割計上 |
システムキッチン | 10〜15年 | 資本的支出扱い |
外壁塗装 | 10〜15年 | 修繕か資本的支出か判断必要(規模による) |
✅ 例)50万円のシステムキッチン → 耐用年数15年
※青色申告なら30万円未満で一括償却も可能(少額減価償却資産の特例)
4. 計上タイミングと帳簿記帳の注意点
✅ 現金主義(白色申告):支払時に経費化
✅ 発生主義(青色申告):完了・使用可能になった時点で経費化
→ たとえば年末に工事契約したが、実際の施工は翌年→翌年分の経費
✅ 領収書・契約書は必ず保管
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「支払日・施工内容・物件名」を明記
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写真・図面・見積書があるとより安心
5. 実務での判断に迷ったらどうする?
判断が曖昧な場合 | おすすめ対応 |
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修繕費か資本的支出か分からない | 税理士に確認 or 減価償却で処理 |
費用が高額・複数年にわたる | 減価償却(資産計上)を原則とする |
10万円未満の支出 | 消耗品費として処理可能(明細を記録) |
まとめ|「リフォーム=全額経費」ではないことを理解しよう
アパート経営におけるリフォーム費用は、
✅ 原状回復や軽微な修理 → 修繕費で一括経費
✅ 性能向上や新設 → 減価償却による年割り処理
というルールをしっかり理解することで、節税リスクを抑えながら、正しい会計処理ができます。
「迷ったら安全側に倒す」これがトラブルを避ける経費管理の基本です。
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