はじめに|「いつかは売る」その日のために備えていますか?
アパート経営は「買って終わり」ではなく、“売却して初めて利益が確定する”投資です。
しかし、売却のタイミングや価格の決め方、税金の負担を知らないままでは、せっかく積み上げた収益を最後に減らしてしまうリスクもあります。
この記事では、アパート売却のベストタイミング・価格の考え方・売却時の税金の仕組みまで、実践的に解説します。
1. アパートを売却すべきタイミングとは?
✅ タイミング①:築年数が古くなり修繕コストが増える前
→ 築20年超で大規模修繕が必要になる前に売却すれば、買い手にとっても好条件に見える
✅ タイミング②:入居率が高い状態を維持できているとき
→ 満室 or 高稼働中のほうが、買い手の利回り試算も良好に見える=高く売れる
✅ タイミング③:減価償却が終了する直前
→ 帳簿上の利益が増え、デットクロス(税負担増)に突入する前に売却することでキャッシュフローを守れる
2. 売却価格はどう決まる?3つの評価方法
▶ 方法①:収益還元法(利回り計算)
例:年収300万円 ÷ 想定利回り6% → 5,000万円が目安
▶ 方法②:取引事例比較法
→ 近隣の類似アパートの過去売買価格をもとに設定。都市部では主流の手法
▶ 方法③:積算評価法(土地・建物の再調達価格ベース)
→ 銀行融資判断では重視されやすいが、市場価格とは差が出やすい
3. 売却時にかかる主な費用と税金
✅ 仲介手数料(不動産会社)
売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税(上限)
✅ 印紙税(売買契約書に貼付)
数千円〜数万円(価格により異なる)
✅ 譲渡所得税(売却益が出た場合)
所有期間 | 税率(所得税+住民税+復興税) |
---|---|
5年以下(短期譲渡) | 約39.63% |
5年超(長期譲渡) | 約20.315% |
🟢 築年数が経ってから売る場合でも、「所有5年以内だと課税率が倍近くなる」ため要注意!
4. 売却を有利に進めるための3つのポイント
✅ ポイント①:資料を整理して“魅力ある物件”として見せる
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修繕履歴
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賃貸借契約書・入居状況一覧
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管理費・修繕積立の明細
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家賃保証や滞納履歴の有無
→ これらがあるだけで、買い手の安心感と価格交渉力に差が出る
✅ ポイント②:売却前に一部リフォーム・清掃で印象アップ
→ 外観・共用部・郵便受け・照明だけでも**「手入れされている感」が売却力につながる**
✅ ポイント③:複数の不動産会社に無料査定を依頼する
→ 一括査定サイトや収益物件に強い仲介業者に依頼し、相場感と最高値を見極める
5. 売却か?保有継続か?の判断基準
項目 | 売却すべき人 | 継続すべき人 |
---|---|---|
築年数 | 築20年以上 | 築10年未満 |
修繕費 | 今後高額修繕あり | しばらく不要 |
利回り | 下落傾向 | 安定している |
融資 | 残債少ない | 残債多い or 団信付き |
🟢 「売ることで利益確定+次の物件に投資」も戦略のひとつです。
まとめ|“出口”を意識した運営が、アパート経営成功のカギ
アパート経営の最終局面は「売却」。
この出口戦略で失敗しないためには、タイミング・価格・税金の知識と準備が不可欠です。
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減価償却・修繕・稼働率の「山場前」に売却する
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売却価格は「利回りベース+実需+融資基準」で決まる
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税金の仕組みとタイムラインを把握する
これらを意識すれば、資産を守り、次の投資へつなげるスマートな売却が可能になります。
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