収益還元法とは?基本の意味と考え方
収益還元法は「将来の利益を現在価値に換算する手法」
収益還元法とは、不動産が将来的に生み出すと見込まれる「利益(純収益)」を基準にして、不動産の価格(=価値)を評価する方法です。特に投資用不動産や収益物件(アパート・マンションなど)で広く使われる評価法です。
この手法では、将来得られるキャッシュフロー(家賃収入など)を元に、今の価値に換算して「この物件は●円の価値がある」と見積もります。
なぜ不動産投資で重要なのか?
たとえ積算評価が低くても、家賃収入が安定していて高い利回りが期待できる物件であれば、投資対象として魅力的です。収益還元法は、そうした「稼ぐ力」を数値化して価格に反映できる唯一の手法です。
積算評価・収益還元法・取引事例比較法との違い【図解比較表】
評価方法 | 着目点 | 向いている場面 | 主な指標 |
---|---|---|---|
積算評価 | 資産価値 | 担保評価、融資審査 | 路線価・建物価値 |
収益還元法 | 収益力 | 投資判断、利回り重視 | 純収益・還元利回り |
取引事例比較法 | 市場相場 | 居住用物件の売買 | 類似物件との比較 |
収益還元法の2つの評価方法【図解で説明】
直接還元法とは?【図解:利回りで価格を求める式】
収益価格 = 純収益 ÷ 還元利回り
- 例:年間純収益が120万円、還元利回りが6% → 2,000万円
直接還元法は、安定した収益が見込める物件に向いています。
DCF法(割引キャッシュフロー法)とは?【図解:各年の収益を現在価値に換算】

各年の家賃収入 × 割引率で現在価値に換算し合算
- 例:5年間の家賃収入+売却益を割引して合計
将来予測が必要で、精度は高いが難易度も高く、鑑定士や金融機関向け。
2つの違いと使い分け【比較表】
項目 | 直接還元法 | DCF法 |
計算の簡便さ | ◎ 簡単 | △ 複雑 |
将来予測の反映 | △ なし | ◎ あり |
適した物件 | 安定収益物件 | 変動が見込まれる物件 |
主な利用者 | 一般投資家 | 鑑定士・金融機関 |
収益還元法の計算式とシミュレーション
直接還元法の基本式

収益価格 = 純収益 ÷ 還元利回り
- 年間家賃収入:120万円
- 諸経費:20万円 → 純収益:100万円
- 還元利回り:5% → 100万円 ÷ 0.05 = 2,000万円
DCF法の計算フロー

- 各年のキャッシュフローを現在価値に割引して合算
- 将来予測を精密に行うため、難易度は高いが精度も高い
収益還元法が活用される場面とは?
収益物件の購入時
- 利回り・キャッシュフローで物件を選ぶ投資判断に最適
銀行融資における評価
- 積算評価が出づらい物件では収益力重視に
不動産鑑定・査定において
- 商業施設・ホテルなどの評価にはDCF法がよく使われる
収益還元法のメリット・デメリット
メリット
- 数値で客観評価
- 収益力を可視化
- 融資や交渉にも有利
デメリット
- 空室率・修繕費など予測が難しい
- 還元利回りの設定が主観的になりがち
初心者の注意点(図解予定)
ミス例 | 対策 |
表面利回りで判断してしまう | 実質利回り(純収益)を使う |
還元利回りの根拠が不明確 | 市場相場を調査する |
DCF法を無理に使おうとする | まずは直接還元法から学ぶ |
よくある質問(Q&A)
Q1. 利回りの目安は?
- 都市部:4〜5%
- 郊外:6〜8%
- 地方・築古:9〜12%以上
Q2. エクセルで計算できる?
はい、テンプレートを使えば可能。無料のシミュレーションツールも多数存在。
Q3. 実務で使われる?
宅建や鑑定士試験でも出題あり。一般投資家は直接還元法の理解で十分です。
まとめ|収益還元法を活用して「収益力ある物件」を見極めよう
資産価値と収益性の両面から判断を
収益性だけでなく、資産性も見ることで投資判断の精度が向上します。
融資・指値にも活かせる武器
数値根拠があると交渉も有利になります。
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