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はじめに|「ローンが通らなかった…どうやって契約解除するの?」
不動産売買契約で住宅ローンを前提とする場合、「ローン特約(融資利用の停止条件)」が契約に含まれていることが一般的です。
この特約は、住宅ローンが通らなかった場合に契約を白紙解除できる強力な仕組みですが、
✅ 解除するには書面で通知が必要
✅ 通知が遅れると特約が無効になることも
✅ 書き方や提出方法を間違えると、手付金が返らない可能性も
この記事では、ローン特約に基づいて契約解除する際の「通知書」の書き方、提出期限、実務でのポイント、すぐに使えるテンプレートまでを丁寧に解説します。
ローン特約の解除には「書面通知」が必須
理由 | 解説 |
---|---|
契約書に明記されている | ローン特約の多くは「書面で通知」と記載されており、口頭や電話では無効になることもあります。 |
法的効力がある | 書面での通知は、解除意思の証明となり、トラブル防止に不可欠です。 |
書面で初めて「白紙解除」が成立 | ローン特約は「申請して終わり」ではなく、通知して発動するものです。 |
書面通知が有効となる「期限」に注意!
ポイント | 内容 |
---|---|
承認期限とは | 契約書に記載された「融資承認期限」が、特約の適用リミットです。 |
到達主義に注意 | 通知書は「売主に届いた日」で判断されます。期限当日に出しても間に合わないことがあります。 |
理想の提出タイミング | 期限の2〜3営業日前には通知完了しておくと安心です。 |
通知書に記載すべき内容【これだけは外せない】
必須項目 | 解説 |
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売買契約の特定情報 | 契約日、物件所在地、契約者氏名などを明記 |
ローン否決日・金融機関名 | 指定された金融機関で本審査が否決されたこと |
ローン特約の適用条文 | 契約書の「第◯条により解除」など具体的に |
買主の署名・押印 | 正式な意思表示として署名・捺印が必要 |
手付金返還の依頼(任意) | 仲介会社を通じて返金処理を希望する旨を書いても可 |
そのまま使える通知書テンプレート(文例)
ローン特約による契約解除通知書
令和◯年◯月◯日
売主 〇〇様
買主 △△(住所・電話番号)
拝啓 貴殿ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、令和◯年◯月◯日に締結いたしました下記不動産の売買契約に関し、融資申込先である〇〇銀行より、本日、本審査における融資不承認の通知を受けました。
よって、契約書第◯条のローン特約に基づき、本契約を白紙解除いたします。
【物件所在地】〇〇市〇〇丁目〇番〇号
【契約日】令和◯年◯月◯日
【金融機関】〇〇銀行
【否決日】令和◯年◯月◯日手付金返還の手続きにつきましては、仲介会社を通じて進めていただけますと幸いです。
敬具
(買主署名・押印)
提出方法と実務ポイント
方法 | 解説 |
---|---|
書留郵便・レターパック | 「いつ・誰に届いたか」が記録に残るので確実です。 |
PDF+メール | 緊急の場合はPDF添付のメール送信+後日原本送付が効果的。 |
仲介業者経由で提出 | 売主との関係が良好な仲介に任せるのが最もスムーズ。 |
よくある失敗とその回避法
失敗例 | 対策 |
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期日を過ぎて通知した | 提出日ではなく「到達日」が基準/2〜3日前までに出すこと |
否決通知が提出されていない | 銀行に依頼して「否決通知書」を必ず取得し、添付する |
書面提出を忘れていた | 口頭だけでは無効になる可能性大/必ず書面を残す |
まとめ|「ローン否決だけ」ではダメ。“書面通知”があってこそ特約は生きる
ローン特約は、
✅ 本審査で否決された場合に
✅ 契約を白紙解除し
✅ 手付金も返してもらえる強力な制度です。
しかしその適用には、
-
契約書に明記された金融機関で審査を受け
-
指定の期日までに
-
書面で解除を通知する
という条件がすべて必要。
通知書は“契約解除の命綱”。
テンプレートを活用して、抜けのない対応を進めましょう。
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