はじめに|「ローンが通らなかったら…手付金は返ってくる?」
住宅やアパートなどの不動産を購入する際、ローン審査の通過前に売買契約を結ぶケースは珍しくありません。
そのリスクに備えるために設けられるのが「ローン特約(融資利用の停止条件)」です。
✅ ローンが通らなかったら契約はどうなる?
✅ 手付金は本当に戻ってくる?
✅ 条件を満たしていないとどうなる?
この記事では、ローン特約による手付金の返金が認められる条件、返ってこないNGケース、安心して解除するための実務対応を徹底解説します。
ローン特約とは?手付金とどう関係する?
ローン特約=買主の「保険」
ローン特約とは、買主が契約時に住宅ローンを前提としており、そのローンが「承認されなかった場合」に限って契約を白紙解除できる特約のことです。
この特約があることで、ローン否決時でも
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契約自体がなかったことになり(白紙解除)
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支払済の手付金は全額返還される
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違約金などの責任は問われない
という効果が得られます。
手付金が返金される理由
通常、手付金は契約が解除された場合に「放棄」や「違約金」として扱われます。
しかしローン特約が適用されれば、買主に落ち度がないことが前提となり、手付金も無条件で返還されるのです。
手付金が全額返金される条件【4つのポイント】
① 契約書にローン特約が明記されている
最も重要なのは、「契約書にローン特約が存在するかどうか」。
ローン特約が記載されていなければ、いかにローンが否決されたとしても、契約解除は“買主都合”扱いとなり、手付金は返ってきません。
② 指定された金融機関で本審査を受けた
契約書に「〇〇銀行」「△△信用金庫」など、融資先が指定されている場合、その銀行で申込を行わなければ特約は適用されません。
また、「仮審査」だけで終わっている場合はNGとなることもあるため注意が必要です。
③ 否決通知が出た
ローン審査の「否決通知」が出ていることが条件です。
銀行からの書面、もしくはメール形式でもよいので、明確に「否決された」と確認できる証拠が必要です。
④ 期限内に書面で解除通知を出している
契約書には「ローン承認期限(〇年〇月〇日まで)」が明記されています。
この期日までに、解除の意思を書面で売主に“到達”させる必要があります。
返金されないNGケースとその理由
特約が契約書にない
買主と売主が口頭で「ローンが通らなかったら解除で」と合意していたとしても、契約書に明記されていなければ無効です。
期日を過ぎた通知
ローンが否決されたとしても、契約書に書かれた期日までに売主へ通知が届いていなければ特約は失効します。
審査申込をしていない・仮審査のみ
ローン特約は「本審査で否決されたとき」に適用されることが一般的です。
仮審査のみで取り下げた、あるいは書類を出さなかった場合は、「買主の誠実な努力義務を果たしていない」と見なされ、特約が無効になる可能性があります。
指定外の金融機関で申込した
契約書で明記された銀行以外で申込・否決された場合も、特約が無効になるリスクがあります。
事前に複数行の申込が許されているか、条文で確認しましょう。
実務での解除・返金の流れ
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金融機関から「否決通知書」を受け取る
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契約書を確認(特約の内容・承認期限・金融機関)
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解除通知書を作成(書面)し、期限内に売主へ提出
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仲介業者を通じて手付金の返還手続きへ
トラブルを防ぐために知っておきたいこと
契約書・金融機関・期日を明記
契約書に「ローン特約」「指定銀行」「承認期限」「解除の方法(書面)」が書かれているか、契約前に必ず確認しておきましょう。
書面提出の証拠を残す
提出方法は、レターパック・簡易書留・PDF+メール送信など、“到達記録が残る手段”で提出するのが鉄則です。
仲介会社との連携も重要
仲介業者は契約実務のプロです。
ローン特約の運用に慣れていない場合は、仲介に間に入ってもらうことで安心して対応できます。
まとめ|ローン特約は“使い方”がすべて
住宅ローンの否決時でも安心して契約を解除するには、
✅ 特約の条文があるか確認
✅ 指定の銀行で本審査を受ける
✅ 否決通知を入手し
✅ 期限内に書面で通知する
この4ステップが揃って、初めて手付金が全額返金されるという安心が得られます。
「特約があるから安心」ではなく、「正しく使えるか」が大事。
不動産契約は、契約前のチェックと解除時のスピード対応がすべてです。
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