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はじめに|「買って終わり」じゃない。運営には“現金”が必要です
アパート経営では、物件の購入資金ばかりに目が向きがちですが、購入後の“運転資金”を用意していないと経営はすぐに行き詰まります。
「想定外の修繕」「長引く空室」「更新料やAD(広告費)」──こうした支出はすべて“現金”で対応する必要があります。
この記事では、アパート経営に必要な運転資金の内訳と金額目安、準備の仕方、赤字回避のポイントを解説します。
1. 運転資金とは?自己資金・借入とは別物です
資金の種類 | 内容 | 例 |
---|---|---|
自己資金 | 頭金+諸費用 | 物件価格の10〜20%+登記・仲介手数料など |
借入金 | 銀行融資で調達 | 物件購入費を補うローン |
運転資金 | 維持・運営中の現金 | 修繕・空室時の返済・税金・広告費など |
✅ 「買ったあとにかかるお金」が“運転資金”です。
2. アパート経営で想定される運転資金の内訳
項目 | 内容 | 年間目安(6戸物件の場合) |
---|---|---|
修繕費 | 原状回復・給湯器・設備交換 | 10〜30万円 |
広告費・AD | 仲介業者への謝礼・募集費用 | 1室退去につき5〜10万円/年間10〜20万円 |
空室損 | 家賃収入が減る分の穴埋め | 月5万円×2ヶ月=10万円 |
管理費・清掃 | 管理会社への支払い | 年間15万円前後 |
税金 | 固定資産税・所得税・住民税 | 年10〜30万円(エリア・物件次第) |
火災保険 | 年単位で更新(2〜5年) | 年換算で1〜2万円程度 |
借入返済の一時補填 | 空室・修繕時の備え | 月10万円×3ヶ月=30万円のバッファ推奨 |
▶ 合計:年間50万〜100万円程度の運転資金を想定すべき
3. 運転資金がないと、どんなリスクがある?
リスク | 内容 |
---|---|
空室が出たら返済ができない | 返済額 > 家賃収入 → 自己資金から補填が必要 |
突然の修繕に対応できない | 給湯器・屋根・水漏れなどは即対応が必要 |
広告費が払えず入居が決まらない | ADを払えず、空室が長期化=悪循環に |
税金支払いで資金ショート | 固定資産税の請求は4〜6月に集中するケースが多い |
✅ 「手元に現金がない」ことが最大の破綻リスクになります。
4. どれくらい用意すればいい?運転資金の準備目安
ステージ | 目安金額 |
---|---|
購入時点 | 最低でも家賃2〜3ヶ月分 × 戸数(6戸なら30〜50万円) |
年間運営 | 物件価格の1〜2% or 家賃収入の10〜15% |
安心ライン | 100万円〜200万円(突発修繕・空室複数同時発生でも対応可) |
5. 運転資金を捻出・維持するための実践ポイント
✅ キャッシュフローの余剰を「積立金」として確保
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毎月の手残りのうち2〜3万円は別口座へ積立
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管理会社からの入金とは“別口座”管理が理想
✅ 家賃の設定・ADなどでCF改善し、手残りを増やす
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強気の家賃設定より、早期入居+長期入居で安定CFを確保
✅ 保険や修繕の支出は“長期計画”で慌てない
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2年に1度の給湯器・10年に1度の外壁など“見える化”して予算化
✅ 収支シミュレーション時に「空室率10%・修繕年10万円」で織り込む
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初期から“現実的な運営”を前提に組むことで、CFにゆとりが生まれる
まとめ|アパート経営の“成功と失敗”を分けるのは、運転資金の有無
物件を買うお金だけでは、アパート経営は続きません。
✅ 修繕
✅ 空室
✅ 税金
✅ 広告費
これらに対応するための“現金=運転資金”が、長期安定経営を支える基礎になります。
**「投資前にいくら必要か?」だけでなく、「投資後にどれだけ残しておけるか?」**も、しっかり考えて備えましょう。
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