賃貸物件の退去時に発生する「原状回復費用」は、ガイドラインに基づいて決めることが推奨されています。
でもその「ガイドライン」って一体どんな内容?東京都版は何が違う?
この記事では、国土交通省の原状回復ガイドラインと、**東京都独自のルール(東京ルール)**を初心者向けに解説します。
国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」とは?
正式名称は
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版・2021年)」
これは、原状回復費用に関するトラブル防止のために策定された指針です。
法的拘束力はありませんが、全国的に参考にされており、裁判例や交渉の根拠にもなり得る文書です。
ガイドラインの基本原則(3つ)
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原状回復は“入居時の状態に戻す”ことではない
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経年劣化・通常損耗はオーナー負担が原則
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借主の故意・過失による損傷のみが借主負担
これを知らずに「クロス全面張替え費用を全額請求された」などのトラブルが発生しています。
ガイドラインで明記されている代表的な考え方
状況 | 原則の費用負担 | 備考 |
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クロスの日焼け・変色 | オーナー負担 | 通常損耗 |
タバコのヤニ・臭い | 借主負担 | 過失と判断されるケースが多い |
フローリングの擦れ・へこみ | 通常使用ならオーナー負担 | 家具跡など |
破損した網戸・建具 | 借主が壊した場合は借主負担 | 故意・過失の有無がカギ |
クロス・床の耐用年数(ガイドライン内)
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クロス(壁紙):6年
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床材(クッションフロア等):6年〜8年程度
6年経過後は価値が残っていないと見なされ、借主が100%負担する義務はなくなることもあります。
東京都版「原状回復ガイドライン(東京ルール)」とは?
東京都は、国のガイドラインに加えて、独自に**より実務的で具体的な指針(通称:東京ルール)**を公開しています。
ポイントは以下の通り:
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実際の退去費用トラブル事例を多数収録
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敷金精算トラブルの解決事例を提示
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契約書に特約がある場合の考え方も補足
🔗 東京都住宅政策本部:「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」も合わせて参照可能
東京都版と国交省版の違い(比較)
項目 | 国交省ガイドライン | 東京都版ルール |
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内容 | 全国向けの原則 | より具体的な事例中心 |
対象 | 全国の貸主・借主 | 東京都内の契約関係者向け |
実用性 | 法的判断の参考になる | 現場トラブルに即した対応策も掲載 |
2025年現在も有効?最新版の確認方法
どちらも2021年の改訂以降、現時点では有効な最新版として使用されています。
ただし、法改正や判例の変化により今後アップデートされる可能性もあるため、以下から最新情報を確認しましょう。
まとめ|ガイドラインは“借主を守る知識”
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原状回復費用は、「慣例」ではなく「原則」で判断すべき
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国交省と東京都のガイドラインは、トラブル防止のための必読資料
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自分の責任範囲を明確にするためにも、契約前・退去前に一読しておくと安心
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