「クロス張替えを請求されたけど、全額払うのが当然?」
「床材が傷んでいるけど、それって借主の責任?」
そんな疑問に答えるのが、**原状回復ガイドラインに基づく「負担割合表」や「耐用年数の考え方」**です。
この記事では、特にトラブルが多い“クロス(壁紙)”と“床材”の負担基準と年数目安をわかりやすくまとめました。
原状回復ガイドラインの基本原則(おさらい)
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経年劣化や通常損耗はオーナー負担
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借主の過失・故意による損傷は借主負担
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原状回復は「必要最小限」が原則
この考えに基づき、**クロスや床材には「耐用年数」**が設定されており、
その年数を過ぎると「価値が減っている=負担が減る」という扱いになります。
クロス(壁紙)の負担割合と耐用年数
国土交通省のガイドラインによれば、
クロスの耐用年数は6年とされています。
【クロス張替え費用の負担割合(目安)】
経過年数 | 借主の負担割合(原則) |
---|---|
1年未満 | 100% |
2年 | 約80% |
3年 | 約50% |
4〜5年 | 約30〜20% |
6年以上 | 0〜10%(ほぼゼロ) |
※クロスの張替えが必要な原因(汚れ・破れ・タバコ等)が借主にあるかどうかが前提です。
床材(クッションフロア・フローリングなど)の目安
床材の耐用年数はガイドラインに明記されていませんが、実務では以下が一般的な目安とされています。
床材の種類 | 耐用年数の目安 | 特徴 |
---|---|---|
クッションフロア(CF) | 約6年 | 汚れ・変色が出やすい |
フローリング | 約10〜15年 | 傷み方で判断されやすい |
畳 | 約3〜6年 | 表替え・本体交換で対応 |
経年によるへこみや日焼けなどは「通常損耗」にあたり、借主が全額負担する必要は基本ありません。
よくある事例と負担の考え方
状況 | 負担者 | 備考 |
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クロスにポスターを貼って剥がれた | 借主 | テープ跡・画鋲跡など |
タバコによる黄ばみ・臭い | 借主 | 故意・過失とされる |
家具の設置跡(床の凹み) | オーナー | 通常使用の範囲 |
経年によるクロスの変色 | オーナー | 日光や湿気によるもの |
ペットによる床のひっかき傷 | 借主 | 飼育責任あり |
クロスや床の張替え費用の相場(参考)
内容 | 費用の目安 |
---|---|
クロス張替え(6畳) | 約3万〜5万円 |
クッションフロア張替え(6畳) | 約2万〜4万円 |
フローリング補修 | 1ヵ所1万〜3万円 |
畳の表替え | 1枚4,000〜6,000円程度 |
※地域・業者・材質により異なります。
トラブル回避のためのポイント
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契約書の特約を確認(全額負担の明記があるか)
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入居・退去時に写真記録を取る(経年か過失か証拠に)
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ガイドラインを根拠に交渉材料とする(特に年数経過後)
まとめ|「年数×原因」で負担の有無が決まる
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クロスや床の原状回復費用は、耐用年数に基づいた負担割合で判断される
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借主の過失が明らかでなければ、経年劣化分まで全額負担する必要はなし
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ガイドラインを根拠に、過剰請求に冷静に対応しよう
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