退去時によく聞く「原状回復」。
でもその意味、正しく理解できていますか?
この記事では、原状回復の定義・現状回復との違い・言い換え表現・そして費用負担の目安まで、初心者向けにわかりやすく解説します。
原状回復とは?
原状回復とは、賃貸物件を借りた人(借主)が、退去時に部屋を「元の状態に戻す」行為のこと。
ただし、“元の状態”とは「入居時の完全な状態」ではなく、
「通常の使用によって発生した劣化や損耗(経年劣化)」を除いた状態を指します。
「現状回復」との違い
用語 | 意味 | よく使われる場面 |
---|---|---|
原状回復 | 借主が物件を退去する際、必要な修繕を行うこと | 賃貸契約・退去時の費用精算 |
現状回復 | 災害や事故の前の状態に戻すこと | 損害保険・災害復旧・インフラ |
「原状回復」は法律・契約に基づく負担義務、「現状回復」は物理的な復旧の意味です。
原状回復で負担が分かれる代表例
原状回復では、「オーナー負担」と「借主負担」の線引きが重要です。
以下のように分けられることが多いです(出典:国土交通省ガイドライン)。
項目 | 内容 | 費用負担の目安 |
---|---|---|
クロスの自然な日焼け・変色 | 経年劣化 | オーナー負担 |
タバコによる黄ばみ・臭い | 借主の過失 | 借主負担(例:クロス張替え 1㎡あたり1,000〜1,500円) |
家具設置による床の凹み | 通常使用 | オーナー負担 |
ペットの爪傷・マーキング | 借主の管理不足 | 借主負担(例:床張替え 6畳 3〜8万円) |
風呂場のカビ | 通常清掃を怠った場合 | 借主負担の可能性あり |
日常清掃不足による汚れ・水垢 | 借主の注意義務違反 | 借主負担(クリーニング費 1〜2万円程度) |
原状回復でよくある誤解
❌「すべて元通りにしなければならない」
→ 経年劣化まで直す義務はありません。
❌「退去時はクロス全面張替えが当たり前」
→ 部分補修で済む場合もあり、過剰請求に注意。
「原状回復」の類語・言い換え例
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修繕
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復旧
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修復
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状態復元
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借主負担補修 など
ただし、契約書や見積もりでは**「原状回復」という用語が正式に使用**されるケースが多いです。
まとめ|まずは「原状回復の定義」を理解しよう
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原状回復とは、「入居時の完全な状態に戻す」ことではなく、「通常使用による劣化を除いた状態」へ戻すこと
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現状回復とは意味が違う
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国のガイドラインや過去の判例で、費用負担の基準が示されている
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不要な請求やトラブルを避けるために、意味と基準を理解することが最初の一歩
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