はじめに|修繕費を甘く見ると、キャッシュフローが崩壊する
「利回りは良いけど、修繕費の出費で赤字に…」
そんな声をよく耳にします。
アパート経営では、家賃収入の裏側で“見えにくい支出”が存在します。その代表例が修繕費です。
突発的な故障から、数百万円単位の大規模修繕まで──
本記事では、初心者大家でも迷わないように、修繕費の基礎知識・積立の目安・大規模修繕のタイミングや注意点をわかりやすく解説します。
1. アパート経営における「修繕費」とは?
アパート経営における修繕費とは、建物の機能維持や資産価値保全のための支出です。
大きく3つの種類に分けられます。
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🔧 小修繕(突発):トイレの詰まり、水漏れ、インターホン交換など
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🧹 原状回復:退去後の壁紙・床補修、ハウスクリーニングなど
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🏗️ 大規模修繕:外壁塗装、防水、屋根・給排水管の更新など
日常的に発生する小修繕に比べ、大規模修繕は数年に一度で、費用が非常に高額になります。
2. 修繕費の年間目安はいくら?
修繕費は物件の構造や築年数によって大きく異なります。以下は目安です。
建物構造 | 年間修繕費の目安(1棟あたり) |
---|---|
木造(築浅) | 5万円〜10万円 |
木造(築20年以上) | 10万円〜30万円 |
RC造・鉄骨造 | 10万円〜50万円 |
築年数が増えるほど故障リスクも増加するため、余裕を持った修繕費の予算組みが必要です。
3. 修繕費の積立はどれくらい必要?いつから始める?
修繕費は「発生してから」では遅いのが現実です。
毎月のキャッシュフローから少しずつ積み立てることが、安定経営のカギです。
✅ 積立の目安(月額)
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1棟木造アパート(4〜6室):1万円〜2万円
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RC造(10室以上):2万円〜5万円
✅ 積立を始めるタイミング
物件取得直後からがベスト。
特に築15年以降は突発修繕や大規模修繕が重なるため、早期からの備えが必須です。
4. 大規模修繕のタイミングと費用、注意点
大規模修繕は築15年・30年が大きな節目になります。主な工事項目は以下のとおりです。
工事項目 | おおよその費用 |
---|---|
外壁塗装 | 150万〜300万円 |
防水工事 | 50万〜150万円 |
給排水管交換 | 200万〜500万円 |
屋根の葺き替え | 100万〜300万円 |
⚠️ 注意点
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急な修繕で見積もり比較できず高額になりがち
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空室を活用した修繕スケジュールを立てるべき
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業者選びの失敗で手抜き工事リスクも
定期的な点検と、相見積もりによるコストコントロールが不可欠です。
5. 修繕費と確定申告|経費にできる?資本的支出との違い
修繕費は原則、経費として計上可能ですが、注意すべきポイントがあります。
✅ 経費になる「修繕費」
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給湯器・エアコンの交換
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クロス・CFの貼り替え
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雨漏り補修
🚫 経費にできない「資本的支出」
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間取り変更、バス・トイレの一体化など機能向上工事
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建物の耐震補強・外壁全面改修など
資本的支出に該当すると減価償却で分割費用化となり、節税効果も変わります。
6. 修繕費で失敗しないための3つのポイント
① 修繕履歴をデジタルで管理
→ エクセルやクラウドで過去履歴を可視化すると、予測がしやすくなります。
② 管理会社に任せすぎない
→ 自主管理でなくても「見積もり精査」「他社との比較」はオーナーの仕事です。
③ 長期修繕計画を立てる
→ 修繕スケジュールを組んで「いつ・いくら必要か」を明確化しておく。
まとめ|修繕費を制する者が、アパート経営を制す
修繕費は「利益を食い潰すコスト」ではなく、資産価値を守るための投資です。
定期的な積立、冷静な見積もり判断、そして知識を持ったオーナーとしての姿勢が、将来の大きな出費とトラブルを未然に防ぎます。
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