「管理会社を通さず、自由に運営できる」──そんな魅力がある自主管理ですが、一方でトラブルに見舞われやすいのも現実です。
本記事では、自主管理による賃貸・マンション運営で実際に起きたトラブル事例と、その原因、未然に防ぐための対策を具体的に紹介します。
目次
自主管理でよくあるトラブル事例
例①:家賃滞納 → 夜逃げ
状況:
入居者の家賃滞納が数ヶ月続き、督促を繰り返したが連絡が取れず、最終的に夜逃げされた。
問題点:
・保証会社未加入
・契約書に遅延損害金や解除条項が明記されていない
対策:
- 入居時に保証会社加入を必須化
- 賃貸借契約に「◯日以上滞納で契約解除」などの条項を明記
例②:クレーム対応で精神的に疲弊
状況:
「上の階がうるさい」「駐車場で子供が遊んでいる」など、些細なクレームが頻繁に届く。
問題点:
・苦情受付の窓口が常に大家
・対応の境界線があいまい
対策:
- 苦情は文書かメールでの受付に限定
- すぐに対応せず、事実確認後の一次対応ルールを定めておく
例③:設備トラブルの対応が遅れた
状況:
エアコンや給湯器が故障したが、手配が遅れたことで入居者とトラブルに。
問題点:
・業者との連絡体制が整っていなかった
・修理費の支出をためらった
対策:
- 地元業者と連携し、緊急時の連絡先を明確化
- 事前に修繕費の予算(毎月の積立)を用意
例④:退去時の原状回復トラブル
状況:
クロスの汚れや設備の破損に対する費用を請求したが、入居者から「経年劣化では?」と反論されトラブルに。
問題点:
・入居時の状態を記録していない
・国交省ガイドラインを無視した請求
対策:
- 入居時・退去時に写真・動画で状態を記録
- 原状回復のルール(ガイドライン)に沿った請求
自主管理のリスク
リスク | 内容 |
---|---|
金銭的損失 | 滞納・修繕費・空室損など |
時間の消耗 | クレーム処理・契約更新・立会いなど |
精神的ストレス | トラブル対応、対人ストレス |
法的責任 | 契約・原状回復・近隣トラブルなどの不備対応 |
トラブルを防ぐための7つのポイント
- 契約書を精査・更新
→ 特約事項や解除条項を盛り込む - 入居者の属性を重視
→ 家賃よりも「人柄・職業・信頼性」 - 保証会社の活用
→ 滞納リスクを大幅に軽減 - 連絡手段の整備
→ LINEやチャットは控え、基本はメール or 書面 - 業者との関係構築
→ 設備トラブル時の迅速な対応を可能に - 記録の徹底
→ 写真、書類、やりとりのログを残す - スポットで専門家に相談
→ 契約書やトラブル内容に応じて、司法書士・弁護士へ
破産事例もある?実態と教訓
自主管理によりトラブルが積み重なり、家賃収入が止まり、物件を売却する羽目になったり、ローン返済不能に陥る事例もあります。
特に初心者オーナーは、最初の1〜2棟は「部分委託」や「相談先確保」でリスク分散を。
まとめ
自主管理は、収益率を高められる可能性がある一方で、トラブルが起きたときにすべてを自分で背負う覚悟が必要です。
トラブルの“火種”は、事前準備でかなり減らすことができます。
「起きてから対処」ではなく、「起きないように備える」ことが、自主管理成功の鍵です。
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