「自主管理にすれば管理費が浮く」と思っていませんか?
確かに管理会社に委託する費用は不要になりますが、実際には“隠れたコスト”が発生します。
この記事では、自主管理における「管理費」「清掃」「修繕積立金」などの実務的なランニングコストについて、詳しく解説します。
目次
そもそも「管理費」とは?
分譲マンションや賃貸アパートにおける「管理費」は、建物全体を維持管理するための経費です。
自主管理になると管理会社への委託料は不要ですが、以下のコストは別途発生します。
自主管理でも発生する主なコスト
項目 | 内容 | 月額の目安 |
---|---|---|
共用部の清掃 | 業者委託 or 住民持ち回り | 3,000〜20,000円程度 |
法定点検 | 消防設備・エレベーターなど | 年1回3万〜10万円 |
修繕積立金 | 長期修繕工事への備え | 戸当たり月5,000円〜15,000円 |
消耗品 | 電球交換・備品補充など | 数百円〜数千円 |
会計管理 | 会計ソフト・税理士費用など | 自主管理でも必要に応じ発生 |
清掃業務の実態とコスト
清掃方法の選択肢
- 住民で持ち回り清掃 → コストゼロ。ただし住民の負担が大きく、トラブルの元になることも。
- 清掃業者へ外注 → 月1〜4回で5,000円〜20,000円前後が相場。
- 地元の個人業者へ委託 → フレキシブルで安価な場合も多い。
清掃頻度の目安
建物規模 | 推奨頻度 |
---|---|
5戸以下のアパート | 月1回でも可 |
10戸前後のマンション | 月2〜4回程度 |
商業テナント混在 | 週1〜2回以上が望ましい |
修繕積立金はどうすべき?
「管理会社がいないから積み立てなくていい」という考えは危険です。
建物は年数とともに劣化し、10〜15年ごとに大規模修繕が必要になります。
自主管理でも、必ず計画的な積立が求められます。
積立金の設定目安
建物タイプ | 戸当たり月額の目安 |
---|---|
小規模アパート | 5,000円〜8,000円 |
中規模マンション(10〜20戸) | 8,000円〜15,000円 |
エレベーターあり | +3,000円〜5,000円加算 |
💡 長期修繕計画をプロに一度作成してもらうのもおすすめです。
実際の収支シミュレーション(小規模マンション・10戸)
項目 | 年額 | 備考 |
---|---|---|
清掃委託 | ¥120,000 | 月1万円(週1回) |
消耗品・雑費 | ¥30,000 | 電球・鍵交換など |
法定点検(消防設備) | ¥50,000 | 年1回 |
修繕積立金 | ¥1,200,000 | 月1万円×10戸×12ヶ月 |
合計 | ¥1,400,000 | 10戸で年間負担 |
会計・管理業務の目に見えないコスト
- 会計作業の手間(現金管理・出納帳)
- 議事録作成・通知発送などの事務コスト
- 収支報告にかかるソフト・サービス料
- 税務処理が必要な場合の顧問税理士費用(任意)
※無償でやるにしても、「時間=コスト」として見積もっておくことが大切です。
自主管理のコストを抑えるコツ
- 清掃は近隣業者と個別契約
- 点検業務は必要な法定項目に絞る
- 会計処理は無料または安価なクラウド会計ソフトを活用
- 積立金は長期的視点で見て徐々に設定
まとめ
自主管理にすれば確かに管理委託費は不要になりますが、清掃・修繕・会計業務などの維持費用は確実に発生します。
費用の内訳を見える化し、管理組合や関係者で透明性ある運用を心がけましょう。
「自主管理=ゼロ円運営」ではなく、
「必要最低限のコストで、最大限の維持を目指す」という考え方が成功のカギです。
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