「物件を売ったら、税金っていくらかかるの…?」
不動産投資で利益を得る“出口戦略”として、物件の売却はとても重要な選択肢です。
ただ、ここで見落とされがちなのが**「譲渡所得税」**という売却時にかかる税金の存在。
「いくら利益が出たのか」よりも「いくら税金で引かれるのか」が大切です。
この記事では、不動産を売却したときに発生する税金の仕組みと、基本的な対策ポイントをやさしく解説します。
売却で発生する「譲渡所得税」とは?
不動産を売却して利益(いわゆる「売却益」)が出た場合、その利益に対して課税されるのが譲渡所得税です。
🔹 譲渡所得の基本計算式:
textコピーする編集する譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)
- 売却価格:買主が支払った金額
- 取得費:物件の購入価格+購入時の諸経費
- 譲渡費用:売却にかかった費用(仲介手数料など)
この譲渡所得に税率をかけて、**所得税+住民税(+復興特別所得税)**が発生します。
※赤字(=譲渡損失)になった場合、基本的には税金はかかりません。
長期譲渡と短期譲渡の違い|税率が約2倍も違う!
譲渡所得に対する税率は、「物件の所有期間」によって大きく変わるのが最大のポイントです。
区分 | 所有期間 | 税率(所得税+住民税) |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 約39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 約20.315% |
✅ 注意点:
- 所有期間は「売却した年の1月1日時点」で判断されます。
たとえば「2019年12月に購入 → 2024年12月に売却」なら 5年未満扱い(短期)です。
節税のカギは「取得費」と「譲渡費用」
税額を左右するのは、課税対象となる「譲渡所得」をいかに小さくできるか。
【取得費に含まれるもの】
- 物件購入価格
- 登録免許税・仲介手数料・印紙税などの取得時諸経費
※建物部分は減価償却されるため、年数が経過しているほど帳簿上の取得費は少なくなる点に注意。
【譲渡費用に含まれるもの】
- 売却時の仲介手数料
- 測量費、登記費用、解体費用 など
【例】売却税額シミュレーション(あくまで参考)
※以下は一般的な例であり、正確な金額は個別に専門家へご相談ください。
例:築7年の区分マンションを2,800万円で売却した場合
内容 | 金額(目安) |
---|---|
売却価格 | 2,800万円 |
取得費(建物+土地) | 2,000万円(うち建物は減価償却で帳簿価額1,500万円に) |
譲渡費用(仲介手数料など) | 100万円 |
⇒ 譲渡所得 | 2,800万円-(1,500万円+100万円)=1,200万円 |
⇒ 長期譲渡税率20.315% | 約243万円(※目安) |
売却後の確定申告が必要な場合とは?
譲渡所得が発生した場合、売却した翌年の確定申告で申告が必要になります。
【必要な書類例】
- 売買契約書(売却・購入両方)
- 登記簿謄本
- 仲介手数料などの領収書
- 減価償却計算書(必要に応じて)
なお、売却によって赤字が出た場合でも、「損益通算」や「繰越控除」の対象になる場合があります(ただし投資用は原則対象外、居住用の場合などに限定)。制度の適用可否は税理士等へご確認ください。
売却のタイミングで差が出る?長期譲渡への切替を検討
たとえば所有期間が「あと数ヶ月で5年超え」なら、売却を少し先送りすることで税率を約半分に抑えられるケースもあります。
また、「年内売却 vs 翌年売却」で、申告タイミングや翌年の住民税額にも影響が出るため、事前に収支シミュレーションしておくと安心です。
まとめ|不動産売却時の税金は“譲渡所得”と“タイミング”がカギ
不動産投資で売却を行う場合、譲渡所得税は無視できないコストです。
仕組みとタイミングを理解しておくことで、無駄な税負担を避けることができます。
- 所得の有無で課税の有無が決まる
- 所有期間によって税率が大きく変わる
- 確定申告が必要な場合があるので事前に準備を
※本記事は制度の概要をわかりやすく解説したものであり、具体的な税務処理や申告内容を保証するものではありません。
詳細な金額計算や節税判断については、税理士などの専門家へご相談ください。
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