「住宅ローンは完済したはずなのに、登記簿には抵当権が残っていた…」
こんなケースは実は少なくありません。
抵当権は、ローンを借りたときに設定される“担保”ですが、完済しても自動では消えないため、あとから自分で「抹消登記」の手続きが必要になります。
この記事では、抵当権抹消の理由や手続きの流れ、費用、注意点をわかりやすく解説します。
なぜローン完済後に「抵当権の抹消」が必要なのか?
抵当権は、住宅ローンなどの返済が終わっても、そのまま登記簿に残り続けます。
つまり、完済したからといって自動的に消えるわけではないのです。
この状態を放置すると…
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不動産の売却や相続がスムーズにできない
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リフォームや借り換え時に担保評価で不利になる
など、思わぬ支障が出ることもあります。
だからこそ、完済後はできるだけ早く抹消手続きを行うことが大切です。
抵当権抹消の手続きの流れ【ざっくり4ステップ】
以下のような流れで、抹消登記の手続きが進みます。
① ローン完済
金融機関から「返済完了」の連絡があり、関連書類が送られてきます。
② 書類を準備
登記に必要な書類(登記識別情報、金融機関発行の証明書など)を揃えます。
③ 登記申請を行う
自分で法務局に申請するか、専門家(司法書士など)に依頼して手続きを行います。
④ 登記簿から抵当権が削除される
数日〜1週間程度で、登記簿に「抵当権抹消」の記録が反映されます。
抵当権抹消に必要な主な書類(例)
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登記原因証明情報(金融機関が発行)
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登記識別情報(登記済権利証など)
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本人確認書類(免許証など)
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委任状(司法書士へ依頼する場合)
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登記申請書(自分で行う場合)
※記載方法や書式は、専門家や法務局窓口で確認することをおすすめします。
費用はどれくらい?登録免許税について
抵当権抹消には、不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかります。
たとえば、土地と建物の2つに抵当権が設定されていれば、合計2,000円となります。
その他の費用:
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自分で申請:ほぼ無料(郵送費などのみ)
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司法書士に依頼:1〜2万円+実費(※目安)
よくある注意点とトラブル事例
✅ 書類をなくしてしまった
完済後に届く書類を紛失すると、再発行が必要になることも。
時間が経つと、金融機関側での再発行手続きが複雑になるケースもあります。
✅ 売却時に気づいて間に合わない
買主が決まり、いざ名義変更!と思ったら**抵当権が残っていて登記移転できない…**ということも。
→ 時間がかかると売却の機会を逃す恐れも。
✅ 金融機関の合併・統廃合で連絡先が不明
古いローンの場合、金融機関が変わっており、どこに問い合わせればいいのか分からないという相談も増えています。
自分でやる?司法書士に依頼する?判断の目安
状況 | おすすめ対応 |
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書類が揃っていて、時間に余裕がある | 自分で手続き(費用を抑えたい方) |
書類が不安/平日動けない/確実に処理したい | 専門家(司法書士)に依頼して安心を優先 |
まとめ|抵当権は「完済後に終わり」ではない
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抵当権は完済しても登記上は残ったまま
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放置すると売却や相続、再ローンなどに支障が出る可能性あり
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抹消には時間と書類が必要なので、完済後すぐに動くのがベスト
ご自身で進める場合も、専門家に頼る場合も、まずは登記簿を確認するところから始めてみましょう。
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